一括交付金、執行率が上昇 それでも70%台 リンク論で減額可能性も


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 使途の自由度が高い沖縄振興一括交付金の2015年度分(前年度繰越分含む、決算見込額)の執行率がソフト分で前年度比2・6ポイント増の77・4%、ハード分で同5・9ポイント増の71・6%になったことが12日までに分かった。執行率向上に向けた県の取り組みが奏功し、一括交付金制度開始の12年度以降、執行率が改善傾向にある。

 ソフト分は交付要綱を踏まえた国との調整に時間がかかり、事業着手が遅れやすい。執行率は向上しているが、県の15年度一般会計決算での執行率87・5%とは開きがあり、執行率の課題は依然として横たわる。

 制度開始時は、国の交付要綱決定が12年4月となり、県や市町村の事業計画の策定が遅れて交付決定も大幅にずれ込んだ結果、執行率はソフトが50・9%、ハードが59・5%にとどまった。

 県は「執行管理連絡会議」を15年度に設置し各部局の事業状況を早期に把握。年度内に執行が終わらない事業は13年度から県議会の繰り越し承認を11月定例会から9月定例会に早め、早期着手と執行率改善に努める。

 41市町村分も15年度の予算計上から計画策定を早めた。不用額の過不足調査を例年より2カ月早い6月に実施し、入札残高を市町村間で流用するなどして取り組んできた。

 県は、好調な県経済の背景に一括交付金効果があると分析。しかし財務省は15年度沖縄関係予算の編成時に、一括交付金の不用額が多いことを挙げ「大幅削減を議論してきた」と指摘、厳しい目が向けられている。

 菅義偉官房長官や、鶴保庸介沖縄担当相が基地問題の進捗(しんちょく)が沖縄関係予算に影響するとの発言をし、一括交付金が「リンク論」の対象になって減額される可能性も否定できない。県の執行率向上の取り組みと、国との十分な調整が問われそうだ。