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3年間の思い、バットに込め 興南の久高、最終回に意地のヒット<夏の甲子園>


3年間の思い、バットに込め 興南の久高、最終回に意地のヒット<夏の甲子園> 興南―大阪桐蔭 9回1死、中前打を放つ興南の久高学士(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 名波 一樹

 第106回全国高校野球選手権大会第2日は8日、甲子園球場で1回戦3試合が行われた。春夏連覇校同士の対戦となった第1試合で、興南は大阪桐蔭に0―5で敗れて初戦突破はならなかった。このほか京都国際、小松大谷(石川)が2回戦に進出した。大阪桐蔭は三回に適時打を重ねて3点を先制、四回に2点を加えた。興南は五回に好機をつくるも、大阪桐蔭の好守に阻まれた。先発した田崎颯士は7奪三振で七回まで踏ん張った。興南打線は4安打に封じられ、点を奪えなかった。大阪勢は春夏通算400勝目。京都国際は夏初出場の札幌日大(南北海道)を7―3で下した。小松大谷は明豊(大分)に8―4で逆転勝ち。16安打を放ち、甲子園初勝利を挙げた。今大会は暑さ対策として1日3試合の第1日から第3日まで、試合を午前と夕方に分ける「朝夕2部制」を導入した。


 聖地での1点は遠かった。興南ナインはこれまで堅守に粘り強く安打を重ね、勝利をもぎとってきた。たどり着いた甲子園の舞台では思うように打線がつながらず、最後まで本塁を踏めなかった。

 五回には得点機もあった。先頭打者は直前の守備で難しい打球を好捕した田澤快武。初球を「振り負けない」と右方向に運んで無死1塁とした。内野ゴロの間に田澤が進塁して2死三塁とし、嘉数大毅が打席に立った。「取りあえず1点」。県大会決勝で見せた勝負強い一撃は中方向への強い当たりに。しかし相手の好捕に阻まれた。

 最終回、1死走者なしで打席に入ったのは久高学士。3年間の思いをバットに込め、真ん中高めの球を中方向にはじき返し安打とした。「ここまでやってきた。後悔はしたくなかった」と最後まで懸命に戦った。

 新チーム始動直後は「甲子園には行けない」と厳しい見方をされていた。それでもチームは努力を重ね、最後の夏に大舞台に立った。石川駿介主将は「序盤はチーム状況もよくなかったが、士気も徐々に上がっていった。この代で野球ができたことは本当によかった」と、ここまでの軌跡をたどった。

 (名波一樹)