【キラリ大地で】ハワイ沖縄連合会専務理事 ジェーン・藤枝・セリカクさん


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ハワイ沖縄連合会専務理事のジェーン・藤枝・セリカクさん

◆ルーツに誇り持って
 ジェーン・藤枝・セリカクさん(76)がハワイ沖縄連合会専務理事の職に就いて今年11年目となる。15年間の小学校校長職を含め32年間ハワイ州の教育界に貢献したセリカクさんは1938年にハワイ島で父武牛、母カナサの下に生まれた。両親はともに中城村の出身で、父親が沖縄からハワイ島に移民した後、母親が後をついて海を渡り、2男3女の家族となった。家族は後にマウイ島マリコ渓谷に生活の拠点を移した。

 セリカクさんの幼少時は、日本語の読み書きを得意としながらも寡黙な父親、それをサポートする母親の間で家の手伝いをしながら、勤勉、協働、我慢、そして感謝の心を教えられた。この教えは、セリカクさんの進路に大きな影響を与える。大学進学に備え、高校生の時には洗濯、ギフトラッピングの仕事、缶詰工場での業務をこなし、大学4年間分の資金を蓄えた。また、4Hクラブ(知性、勤勉、リーダーシップ、健康をテーマにした高校生のグループ)に所属し、女子生徒1人の中、食用去勢牛の育成ではマウイ島のカントリーフェアーで4年連続大賞を受賞した。今でも4Hクラブのアドバイザーのドイさんには本当にお世話になったと感謝の意が絶えない。4Hクラブの代表として、アメリカ本土に派遣されたこともある。

 ハワイ沖縄連合会の初の女性会長に就任したのが1993年春。前任の会長から次期会長への話が来た時は正直戸惑ったが、これが新しい機会へのきっかけとなればと引き受けた。

 連合会傘下にあるクラブを強化するために21~45歳までの次世代リーダーを育成するために研修生を沖縄に送るスタディーツアーを始めたのも、セリカクさん。この研修は連合会、研修生の所属クラブの経済的支援、そして研修生自らの自己負担もあり、以後6年間続いた。このころに研修を受けた人材が現在、連合会や傘下のクラブのリーダーとして活躍している。

 一人娘のミシェルさんはインディアナ州ノートルダム大学にて生物学の教授を務め、2014年にはインディアナ州の最優秀教授として表彰された。

 セリカクさんが沖縄県系人コミュニティーの中で活躍していたころ、ミシェルさんはハワイを離れ大学、大学院とアメリカ本土で学業に打ち込んでいた。離れていても、娘に教えたことは、両親から学んだ勤勉の大切さ、そして「己のルーツに誇りを持ち、努力をすることだった」とセリカクさんは言う。

 ハワイ沖縄連合会の専務理事に就任してから、中高校生のホームステイ事業や青年向けの研修などで、沖縄県の各市町村とのつながりが年々強くなっていることをセリカクさんは実感し、このつながりに関われることに日々感謝している。
(矢部久美子通信員)