第一航空・粟国事故1年 生活打撃、ため息 「日帰りできず負担」


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 【粟国】粟国村の粟国空港での航空機事故から28日で1年が経過した。航空路線の運休で、医療機関を受診する村民やスポーツ大会などに参加する小中学生が本島に出向く際の滞在日数が増加したり、観光客の滞在日数の減少、急なキャンセルが発生したりするなど、村民生活、村経済に影響が出ている。村民は早期の運航再開を望むが、第一航空による再就航を不安視する声もある。

 東区長を務める仲間幸一さん(75)は、定期的に本島の医療機関で受診している。飛行機が日に3便運航していた際は日帰りもできたが、現在は最低でも1泊2日、長ければ2泊3日以上の滞在を強いられる。「宿泊費など負担もかかる。高齢者も多く、船で行くのは大変なため、通院できなくなったという人もいる。早期に運航再開してもらいたい」と望む。

 小学6年生と中学2年生の娘がいる民宿経営者の男性(38)は「村には歯科医がなく、歯の治療は本島に行く必要があるが、日帰りができなくなったのは負担だ」とこぼした。

 粟国小中学校は近年、バドミントン部が県大会で優勝するなど活躍しているが、同校PTAの糸洌洋一会長は「大会当日に出発すると間に合わないため、前入りする必要がある。子どもたちが授業に出られない日が増え、学習面での影響も懸念される」と語る。

 村経済課によると2014年度の全入域客数は2万503人、15年度は2万283人で、事故後はフェリーの利用者が増えたことで、入域客数に大きな変動は起きていない。だがフェリーは欠航が多く、例年60~70回の欠航がある。宿泊、観光施設の関係者によると、欠航しそうな場合に観光客が予定を繰り上げて帰ったり、急に予約がキャンセルになったりして安定的な経営に影響を与えている。

 村内では規模の大きい9部屋の宿泊施設「プチホテルいさ」を経営する伊佐ミツ子さん(65)。8月25、26、27日にそれぞれ14人、21人、28人の宿泊予約が入っていたが、悪天候でフェリー欠航の可能性があったことから、全てキャンセルになった。伊佐さんは「飛行機があったときはここまでのキャンセルはなかった。早く復旧してもらいたいが、安全性はしっかりとしてもらいたい」とため息をついた。