子どもたちが運営スタッフとして関わる11月開催の「第3回こども国際映画祭in沖縄(KIFFO)」で、低身長症の男性と児童養護施設の子どもとの交流を描く「AT EYE LEVEL」(ドイツ)が上映される。映画祭のディレクターを務める映画監督の宮平貴子さんは相模原障害者施設殺傷事件などから、他者を受け入れられず、想像力が欠如することなどを「心の貧困」と危惧する。宮平さんは「『映画は心の栄養』が映画祭のテーマだ。相手を思いやる心、自由な発想、想像力などの土台を形づくるのに今が重要な時期だ」と熱く語る。「AT-」について「差別や偏見を自分事として捉えられる作品。子どもたちにも吹き替えでより分かりやすく見てもらいたい」と話している。
宮平さんは子どもたちが自分の世界を突き進み、変えていくためには自信を付けることが必要だが、それを妨げる要因の一つに「相対的貧困」を挙げる。「好きなことに熱中できず、日々の生活で精いっぱいの子どもたちもいる」と現状を指摘。多感な時期に映画や文化に触れることのできる映画祭の意義を話した。宮平さん自身も幼少期から多くの映画を鑑賞した。映画から得られた感動、魅力などが現在、映画監督として活動する自分をつくり上げた。「多くの感動、恐怖、憧れ、愛や切なさなどの体験したことのない感情を教えてくれたのは映画だった」という。2014年から「こども国際映画祭in沖縄」を開催したのも、先の見えない社会にあっても、子どもたちを「心の貧困」に陥らせないためだ。
「AT-」についてさらに「物語を知れば人の立場を考えられる。映像の力も大きく、偏見をなくすきっかけにもなる」と選定理由を話した。
KIFFOでは子どもがスタッフとして関わるため、映画に興味を持つ子どもらによるワークショップを開く。宮平さんは「子どもが表現できる場所の一つになれば」と語った。
上映する外国映画の吹き替え費用(目標金額300万円)をクラウドファンディングで募っている。期限は8月31日までだが、30日現在、目標金額の約3割にとどまっている。アドレスはhttps://readyfor.jp/projects/KIFFO2016