軍属事件もテーマに 21日から石川真生さん「大琉球写真絵巻」


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実行委員会にパート3の写真の内容を説明する石川真生さん(左手前)=8月21日、名護市

 【名護】9月21~25日に名護市民会館中ホールで行われる「大琉球写真絵巻」の開催準備が進んでいる。「絵巻」は写真家の石川真生さんが2014年から発表しているシリーズで名護市での開催は初めて。今回は最新作となる「パート3」を含む3部作が展示されるが、「パート3」では米軍属女性暴行殺人事件をテーマにした写真も含まれる。石川さんはこのほど、名護市の民家で写真展実行委員のメンバーを集め、事件をテーマにした理由や思いを説明した。

 「絵巻」シリーズは沖縄で起きた歴史の重要場面を再現した創作写真。1部と2部は各22枚、3部は23枚で計67枚の写真をプリントした90メートルの布で表現される。

 3部が22枚から1枚増えたのは、3部の準備を進めていた終盤に米軍属による女性暴行殺人事件が発生し、それをテーマにした写真1枚が加わったからだ。石川さんは「米兵や米軍属の事件や事故が繰り返されてきたにもかかわらず、日米両政府を含め私たちが何もしてこなかった結果、再び悲劇が起こった。絶対にこの事件をテーマにした写真も絵巻に含めたい、含めなければいけないと思った」と説明する。

 この事件を取り扱うに当たってどう表現するか苦しみ、一度撮影した写真を図柄を変えて撮影し直した。

 「写真説明も書くのにこれほど時間がかかったのは初めて。悩み過ぎて吐いてしまうほどだった」と石川さん。事件をテーマに選んだことや事件で犠牲になった女性の出身地でもある名護市での開催ということもあり、石川さんは「賛否両論を含め反響は大きいと思う」と話す。「いろいろな思いを持って訪れる人にしっかり説明したいし、思いを受け止めたい」という気持ちから、開催期間は石川さん自身が展示会会場に常駐する予定だ。

 「絵巻」の“出演者”はほぼ沖縄在住者で、石川さんの知人や友人。

 石川さんは「絵巻を見た人からモデルがいい演技をしていると評価してもらえたが、みんなモデルとしては素人。でも地元で暮らす人だからこそ、表現できる迫真の演技を見てほしい」と強調した。

 毎日15時から石川さん本人のギャラリートークも予定している。

 入場料は前売り500円(当日700円)、高校生以下無料。問い合わせはメール mao.emaki@gmail.com かフェイスブック。実行委員会は運営費のカンパも呼び掛けている。