本紙で連載している小説「武士マチムラ」の作家・今野敏さんの講演会「今野敏トーク&プラス―武士マチムラと泊手の世界」(空手新聞主催、県空手道連合会共催)が25日、那覇市のパシフィックホテル沖縄で開かれた。今野さんは自身の体験を交えながら、沖縄の伝統空手の魅力と継承の意義を語った。約100人が参加した。講演に続くフォーラム「沖縄伝統空手の未来像を探る」では、現在の伝統空手の意義や課題に対する提言があった。
講演会では小説の主人公・松茂良興作の流派「泊手」について那覇手、首里手とは異なる特徴を解説した。
東京五輪で空手が正式種目に採用されたことについて「空手が広まることはいいことだが、競技化が進むといろんな支障が出てくる。勝つことが目的のスポーツとは全く別だ。空手は文化であり武道だ」と強調。競技化が極端に進むあまり、伝統的な形が崩れていくことを危惧した。今野さんは「世界の空手の中心は沖縄にある。誇りと責任を持って伝統空手を守り、伝えてほしい」と会場の空手関係者に呼び掛けた。