沖縄一括交付金、全首長が評価 市町村長アンケート 自由度の低さ指摘も


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 2016年度で制度開始から5年目を迎えた沖縄振興一括交付金について、琉球新報社は27日までに沖縄県内41市町村長にアンケートを実施し、全市町村長から回答を得た。全市町村長が一括交付金について「評価する。継続すべきだ」と回答した。理由として「既存の補助事業でできなかった事業ができた」とする回答が多かった。一方で課題として、「他省庁の補助メニューがあるために一括交付金が活用できないことがある」(宜野湾市)などと使途の自由度の低さに対する指摘もあった。

 評価する理由には、「通常の補助メニューにない事業が可能である。補助率が8割と高い」(東村)などと歓迎する回答が多数を占めた。「離島の活性化、『しまちゃび(離島苦)』の解消になった」(座間味村)など、地域振興に寄与したとする回答もあった。

 市町村に成功事例を聞いたところ、「船賃(高速船)負担軽減と観光産業全般に関する整備(道路、駐車場など)」(竹富町)といった観光や離島振興に資するものが多かった。また「小中学校への教育支援員の配置事業」(読谷村)など教育振興を評価する市町村も多かった。

 課題としては「一括交付金終了後の財源が確保されていないため、長期継続的な事業には活用できない」(糸満市)、「すぐに成果が見えないものもあり、中長期的な視野で事業を検証する課題がある」(本部町)、「自由度の低さ」(北谷町)などが挙がった。

 回答には「評価しない。一括交付金制度はなくてもいい」や「どちらでもない」の選択肢もあったが、選んだ市町村はなかった。

 市町村に配分される一括交付金はソフト事業の「沖縄振興特別推進交付金」で毎年度、千件以上の事業がある。沖縄振興一括交付金はこれまで財務省などから執行率の低さが指摘され、17年度の概算要求で16年度比275億円(17・0%)減の1338億円が計上された。