筋弛緩剤4本紛失 南部医療センター 警察へ届け


この記事を書いた人 新里 哲
麻酔用筋弛緩剤の紛失を公表し、謝罪する佐久本薫院長(中央)ら=14日午後、南風原町の県立南部医療センター・こども医療センター

 県立南部医療センター・こども医療センター(佐久本薫院長)は14日、南風原町の同センターで記者会見を開き、今年9月に手術室内に保管していた麻酔用筋弛緩(しかん)剤4本が紛失していたことを公表した。院内を捜索したほか、紛失を届け出た与那原署による現場確認などが行われたが、発見に至っていない。

 同センターによると、紛失したのは手術室内の薬品保冷庫内に保管していた麻酔用筋弛緩剤「スキサメトニウム」40ミリグラム4本。同薬は旧薬事法で毒薬に指定されており、成人では20ミリグラムでも呼吸筋がまひし、生命の危機に陥る可能性がある。同センターでは精神科患者への電撃療法のみに使用していたという。

 弛緩剤の紛失は、9月26日に帳簿と照らし合わせた際に不足があったため判明。院内で調査を進めたところ、9月20日午後11時から26日午前10時までの間に紛失しており、関係職員への聴取や手術室全エリアの確認、医療廃棄物などの確認を行ったが発見できなかった。

 同センターでは筋弛緩剤の取り扱いについて、今年4月に改定したマニュアルで使用本数と未使用本数を確認することになっていたが、問題の期間中は未使用本数確認が徹底されていなかった。また、筋弛緩剤を保管する管理金庫や保冷庫に窃盗の可能性を示す痕跡はなかったという。

 会見で佐久本院長らは「薬剤の紛失という不祥事が発生した。県立病院の信頼を損なう事態で、県民や関係機関の皆さまに深くおわび申し上げる」と謝罪した。

 再発防止策として(1)薬剤の使用本数と未使用本数の確認徹底(2)補充作業を麻酔科医師、看護師、薬剤師で行う(3)従来2カ所で行っていた薬剤管理を1カ所で行う―を掲げた。