“中年の星”新たな挑戦 マスターズ世界陸上 100メートル、譜久里が出場


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「自分の可能性に挑戦できることを誇りに思う」と45歳で100メートル世界一を目指す譜久里武=12日、浦添市陸上競技場

 沖縄陸上界の“中年の星”が新たな頂に挑もうとしている。今年45歳を迎えた譜久里武が、世界マスターズ陸上選手権(26日開幕、オーストラリア・パース)で100メートルに出場する。昨年はタレントの武井壮らと組んで400メートルリレーで金メダルを獲得した。今回は個人種目で世界ナンバーワンを目指す。

 同選手権には35歳以上の選手が出場でき、5歳刻みのクラスに分かれて競い合う。参加に必要な記録設定や選考会はないが、各国からトップ級の選手が集う中高年の最高峰の大会だ。譜久里は出場する45~49歳クラスでは最も若く、さらに現時点での記録は世界ランク3位に付けている。十分に優勝を狙える位置だ。

 譜久里が同選手権に出場するのは3度目。初出場の2013年は100メートルで銀、15年は400メートルリレーで金メダルを獲得した。国際舞台を経験し、「真剣に競技を追求している同世代がたくさんいるのを見て価値観が変わった」と話す。年齢による体力の衰えを否定せず、工夫しながら自分の限界に挑む世界中の仲間に刺激を受けた。

 「走ること」は譜久里にとって「人を幸せにするツール」という。陸上を通して多くの出会いがあり、好結果を喜んでくれる人も、努力する姿に影響を受けてくれる人もいると話す。

 「恩返し」の気持ちで始めた陸上クラブ「アスリート工房」は県内で6カ所の拠点を構えるまでに広がり、子どもから高齢者、障がい者が共に汗を流す。

 世界選手権へ向けフォームや細かな技術の修正を繰り返してきた。8月の県内大会では、45歳以上100メートルの日本新記録となる11秒22をマーク。準備は万端だ。久しぶりの10秒台突入も視界に入る。「自滅しないことが大事だ。集中して自分の間合いとリズムで臨む」。自らの可能性を広げるレースへ、目を輝かせる。(大城周子)