国保、赤字数百億に 首長ら来月、国に要請


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 沖縄戦の影響で全国と比べて前期高齢者(65~74歳)の割合が低いため県内市町村の国民健康保険財政が悪化している問題で、国による改善措置が実施されない場合、2016、17年度は全市町村で約77億円、18~24年度は最大で約54億円の赤字が発生し、期間中の合計で赤字額が数百億円に上る見通しであることが18日、県内11市の国保担当課長で構成する県都市国民健康保険研究協議会の分析で明らかになった。同問題の解決を目指し、県内市町村長と一部議会の代表者らは11月16、17の両日、過去最大規模の政府要請行動を実施する。

 那覇市西の国保会館で18日に開かれた市町村長・国民健康保険主管課長合同説明会で報告された。11月の要請行動には18日現在、首長三十数人が参加する予定で、厚労相、官房長官、沖縄担当相に沖縄の特殊事情を踏まえた制度の創設や財政支援措置を求める。

 08年度に実施された医療制度の改正で、前期高齢者の加入割合に応じて交付金が配分される「前期高齢者財政調整制度」が導入されて以降、全国的には国保財政が改善した一方、県内はほとんどの市町村で国保の単年度収支が悪化している。14年度は県内41市町村中37市町村で一般会計からの法定外繰入金を除いた実質単年度収支が赤字となっており、総額は約109億円に上る。

 24年度にかけ沖縄戦の影響で出生数が少ない世代が75歳以上の後期高齢者に移行するため赤字額は減少、25年度以降は交付額も全国並みの水準に達するとみられているが現状、県内では同制度が財政を圧迫する大きな要因となっている。