豊見城中央病院が「国家戦略特別区域高度医療提供事業」認定を受けて実施を予定している「小児に対する軽度三角頭蓋の頭蓋形成手術」に対し、医療関係団体が認定撤回を求めている件で、この治療法の第一人者として臨床研究を進めてきた下地武義医師は「手術を受けた患児は術後短期間に見られる改善だけでなく、その後も順調に成長している」と説明し「手術を選択するのは親。選択の幅を狭めないでほしい」と訴えている。
豊見城中央病院は今年4月、再生医療など先進技術による医療ツーリズムなどを展開する高度医療提供事業の認定を受けた。事業の柱の一つとして、子どもの頭蓋骨の接合部分が早期に閉じる「三角頭蓋」と自閉症に似た臨床症状の関連性に着目して治療する下地医師提唱の「小児に対する軽度三角頭蓋の頭蓋形成手術」が盛り込まれている。
同治療については、日本児童青年精神医学会などが「自閉症に似た症状と三角頭蓋の関連について、科学的証明はなされていない」と批判している。下地医師は「厚生労働省や県の研究費を受け、術前3カ月と術後6カ月の患児の状態を4種類の心理テストで検査している。言語遅滞や自閉傾向などで明らかに改善した」と主張。研究結果は今後、論文をまとめるという。
下地医師は「三角頭蓋の頭蓋形成手術自体は、美容形成で一般的に行われている。軽度の三角頭蓋で自閉症に似た症状が出る場合があり、手術後に改善したことに気付いた」と説明。さらに「これまでの500例を超える手術のうち、95%が改善かやや改善だった」と手術の効果を強調した。
一方で同医学会が「軽度三角頭蓋の自然経過を含めた疫学調査が行われていない」と指摘する点について、下地医師は「どれくらいの割合で軽度三角頭蓋の子どもが生まれ、どれくらいが症状を持つかを調査する疫学研究は確かに重要だ」と認めつつ「今後の課題として取り組まなくてはならない」と述べた。