「園子さんお帰りなさい」 50年ぶり帰省 笑顔と涙の同期会


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 【今帰仁】地元を50年間離れた友人の帰省を歓迎しようと、旧兼次中学校10期生の有志らは17日、同村平敷にある「カラオケ喫茶ほたる」で同期会を行った。地元を半世紀離れ旧友との再会を喜んだのは村兼次出身の平良園子さん(74)=旧姓・諸喜田。

半世紀以上ぶりの仲間との再会を喜ぶ平良園子さん(前列左から7人目)と旧兼次中学校10期生の同級生ら=17日、今帰仁村平敷の「カラオケ喫茶ほたる」

 平良さんは24歳の頃、アルゼンチンで働く本部町出身の男性を1枚の写真で紹介されて嫁いだ。最初、何かあればすぐに帰って来られる場所だと軽い気持ちで地元を後にしたが、遠く離れた地で、全く言葉も分からず、いつも故郷を思い出し、3年間はホームシックにかかった。

 しかし、その後子どもを授かり、考え方が一変した。「生まれてくるわが子のために、言葉を覚えないといけない。いつまでも悲しんでいては駄目だ」と気持ちを切り替え、アルゼンチンで4人の娘を産み育てた。

平良園子さん

 今では3人の孫にも恵まれている。年齢を重ねた平良さんは久しぶりに、自身のきょうだいや友人らと会いたいと思っていたところ、10月に行われた世界のウチナーンチュ大会をきっかけに10月14日に来冲した。伊江島や那覇市に住むきょうだいと再会を果たし、故郷に帰省して約50~60年ぶりに会う友人らとも昔話に花を咲かせた。

 この日は県内から平良さんに再会しようと同級生が集い、一人一人が昔話を語り掛け、終始笑いと涙が絶えなかった。

 同期会などはタイミングが合わず、これまで一度も参加したことはなかった。平良さんは「50年ぶりに帰ってきて、浦島太郎状態だが、同級生は全然変わらない。今日はうれしく楽しく、涙もいっぱい出た。元気であれば、また5年後のウチナーンチュ大会の頃にでも会えたら」と涙を拭った。

 最後は全員で、旧兼次中学校の校歌を歌い、昔にタイムスリップした。世話役の仲村渠静子さん(74)は「すぐに帰ってくると思っていたが、もう50年の月日が流れた。とっても感慨深い」と目を細めた。平良さんは次回の再会を誓い、20日に故郷を後にする。
(新城孝博通信員)