20年精魂込めた蘭 誰が… 根元から〝盗難〟 那覇市


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根元から抜き取られているラン=21日、那覇市繁多川

 那覇市内で街路樹に着生させたランなどの花が持ち去られる被害が相次いでいる。那覇市繁多川の玉城晃さん(79)が街路樹に着生させたランの株も19日までになくなっていた。玉城さんは「20年精魂込めて育てたランだった」と悔しそうに話した。同市の金城ダム通りでも被害が確認されているが、「取られる以上に植えるしかない」と諦めの声も上がっている。

 玉城さんは9月に市の許可を得て、20年以上育てたオンシジウムを株分けし、48株を自宅近くの街路樹に着生させた。11月初旬には肥料を投入。徐々に花芽が付き、黄色くかわいらしい花を咲かせ始めていた。街路樹に着生したデンファレなどが華々しく咲く「金城ダム通り」のような通りを目指して、栽培を続けている途中だった。

 だが、19日の朝に玉城さんが買い物に出掛けようと通りに出ると、14株が根元ごと抜き取られたり、茎から上がなくなっていたりしていたことに気付いたという。玉城さんは近くの交番に被害届を出した。「なくなっていてムカッとした。残ったものも取られるのでは」と警戒する。

 金城ダム通りでもランの盗難は絶えない。ランを着生させている野中哲さん(61)は「以前からよくあることだ」と話す。「目の前で花をポキッと折って『あら、すみません』とだけ言っていなくなるおばさんもいた。悔しいけど取られる以上に植えるしかない。たくさん着生させた方がいいかもしれない」と話した。