尚巴志の偉業、物語に 朗読劇、地元佐敷で初披露


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物語を朗読する尚巴志語り部

 【南城】600年ほど前に南城市佐敷で生まれ三山を統一、琉球王朝初代王となった尚巴志の偉業を多くの市民の誇りとして認知してもらおうと20日、「尚巴志ものがたり朗読舞台披露会」が地元佐敷区で初公開された。

 会場の佐敷区公民館にはお年寄りをはじめ多くの親子連れが訪れた。3年前から尚巴志物語に取り組む石田俊輔さん(48)が主催者を代表してあいさつした。続いて琉球歴史研究家の賀数仁然(ひとさ)さんが「尚巴志の道行き話」と題して講演した。
 話者13人にバイオリン、三線、大太鼓担当が第1話「洞窟で生まれたいのち」を朗読した。周りの石の視点から物語を紡ぎ、尚巴志の人柄に迫るという趣向で進められた。
 第2話「原点」では、佐敷上グスクの丘の上で遊ぶ子どもたちがキラキラ光る馬天港のサバニを見て坂を駆け降りる。その中に後の尚巴志を登場させ、刀を貿易船の鉄と交換し、鍛冶屋でくわを作らせ農民らに与え成長していく。
 中山王、北山王を倒した尚巴志はついに南山も配下に治め三山を統一。舞台では戦いの音から、にぎやかな音が奏でられ明るい雰囲気に一変する。その後、唐との交易が盛んとなって宝の島へと話は大きく変化し、最後の第10話では話者たちが一斉に「まーるく、まーるく」「かりゆしかりゆし、こーろころ」と、心地よい声を弾ませながら物語を閉じていった。
 子どもたちは最前列で耳を澄ませて聞いた。宜野湾市から訪れた女性は「分かりやすくて面白かった。無料で聞けたのが、もったいないような気がした」と話した。(知花幸栄通信員)

尚巴志物語を鑑賞する児童たち=20日、南城市佐敷公民館