「受忍論」打破へ連携 被団協、沖縄戦被害者と初交流


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沖縄戦の様子を日本原水爆被害者団体協議会メンバーに語る沖縄戦体験者=6日、那覇市の県青年会館

 原爆被爆者らでつくる日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のメンバー34人は6日、結成60周年記念事業「沖縄交流ツアー」で来県し、「ヒロシマ・ナガサキ、沖縄戦をめぐるシンポジウムと交流」を那覇市の県青年会館で開催した。被団協が沖縄戦被害者と交流するのは初めて。国の償いを意味する国家補償の立法を目指す被団協と、国家賠償訴訟で国の責任を追及している沖縄戦被害者が連帯した。両者は戦争の被害を全て等しく受忍しなければならないという国の「受忍論」を打ち破ることに共通項を見いだし、連携していくことを確認した。

 シンポジウムで石原昌家沖国大名誉教授は、援護法の適用を手段として沖縄戦の被害住民をからめ捕っている構図を解説。被団協の木戸李市事務局次長は、「受忍論」で国家賠償の要求が退けられてきた経緯を報告した。

 ひめゆり平和祈念資料館の普天間朝佳副館長は、講話できる戦争体験者が減少する中、職員が体験者と向き合って講話を続けていることを報告した。

 シンポジウムには約60人が参加。参加者も沖縄戦の体験を話したり、被団協と沖縄戦被害者との連携について意見を述べたりした。被団協メンバーの吉田一人さん(84)は「沖縄戦も原爆被害も空襲被害も受忍政策を打ち破る闘いだ。過去、現在の被害だけでなく、将来の戦争被害を防ぐためにも、次世代につないでいきたい」と語った。

 石原名誉教授は集団自決(強制集団死)について「軍関与の(教科書)記述を削除したのも受忍政策の押し付けだとひらめいた」と述べ、被団協の運動と連帯が生まれることを期待した。