就労目的で難民申請 留学生、失踪後県外へ


この記事を書いた人 新里 哲

 2015年の全国難民認定申請件数が7586件あり、10年前の8倍になっていることが分かった。留学生の難民申請は1413件で5年前の約20倍となっており、全体数を押し上げている。

 沖縄県内の外国人留学生や日本語学校関係者によると、難民申請すると審査に要する数年間は働きながら日本に滞在できる「特定活動」の在留資格が得られるため、留学で来日した学生が所在不明となり、就労を目的に県外で難民申請している実態があるという。

 また、在籍する留学生のうち、所在不明で不法滞在者となった学生の割合(不法在留率)が5%以上になり、法務省入国管理局から「非適正校」に選定された日本語学校が那覇支局管内(県内)で3校あることも分かった。非適正校は年1回選定される。今年は全国で21校だった。那覇支局は東京の9校、福岡の4校に次いで3番目に多い。

 留学生の場合、アルバイトなど収入を伴う資格外の活動は入管難民法施行規則で週28時間以内と定められている。「特定活動」は難民申請の半年後から自由に働くことができ、労働時間の制限がない。

 県内の最低賃金を目安にすると、留学資格で得られる収入は1年間で約100万円。日本語学校は入学金や授業料で年間60万~100万円の学費を要するといい、生活しながら学費を払うのは困難とみられる。

 難民申請の審査が行われるのは「基本的に申請した順番」(法務省関係者)で、申請が集中する大都市圏は結果が出るまで2、3年はかかるという。