沖縄県内地価、上昇感強く 軍用地も高水準


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 沖縄県不動産鑑定士協会(松永力也会長)は12日、不動産業者の市況感を示す5~11月の業況判断指数(DI)を発表した。地価が「上昇」と答えた割合から「下落」と答えた割合を引いた地価動向DIは、住宅地がプラス48・6、商業地がプラス54・7を記録し、それぞれ4期連続でプラス幅が拡大した。軍用地は前期比4・1ポイント減のプラス56・5と、プラス幅は縮まったものの依然として高水準にあり、沖縄の不動産価格は上昇感の強さが続いている。

 DI調査は半年ごとに実施し、今回が5回目。半年前の調査と比べた地価DI値は住宅地が5・1ポイント増、商業地が3・4ポイント増の上昇となった。

 半年後の2017年5月時点の地価の予測は、住宅地がプラス31・5、商業地がプラス33・8、軍用地がプラス28・6で、上昇感は続くもののプラス幅は和らぐ見通しとなった。業界では先行きを現状より控えめに見る傾向がある。

 調査は11月1日時点で県内全1495業者に調査票を発送し、383件(回収率25・6%)の回答を得た。

 【取引件数】取引件数の増減に関する実感値は、宅地がプラス3・6と4期連続の「増加」超、戸建て住宅はプラス1・7で「増加」超に転じた。

 マンションはマイナス0・4、軍用地はマイナス18・2と「減少」の割合が「増加」を上回ったものの、半年前に比べてマイナス幅は縮まった。軍用地は市場に出る物件の少なさから、取引件数は大幅なマイナスで推移している。

 今後の予測は宅地がプラス9・0、戸建てがプラス6・2、マンションがプラス5・4、軍用地がマイナス5・0と全ての種別で改善を見通した。

 【賃貸市場】アパートなど共同住宅の賃料はプラス7・1、稼働率はプラス2・9。店舗などの賃料はプラス3・5、稼働率はマイナス0・6。いずれの項目とも前回の調査より「増加」の割合が上昇した。

 一方、半年後の予測値は全項目で減少し、共同住宅の賃料以外はマイナスになる見通しとなった。新たな区画整理事業地でのアパート建設など賃貸物件の供給過剰感があり、調査を担当した村山哲志不動産鑑定士は「賃貸市場に対する期待値が低い」と分析した。