【本部】人間を含むほ乳類など胎生動物の多くが生まれた時には歯を持たず、産後しばらくしてから歯が生える中、ホオジロザメは母親の妊娠初期の胎内にいる胎仔(たいし)の時点で既に歯を持っていることが20日、明らかになった。ホオジロザメの胎仔が歯を持つことは近い種類のサメの研究から予測されてきたが、実際に確認されたのは初。沖縄美ら島財団と琉球大学大学院医学研究科の研究グループ7人が11月27日、学術雑誌に掲載し発表した。
ホオジロザメは最大全長6メートルに達し映画「ジョーズ」のモデルとしても知られる。今回の胎仔標本は沖縄本島周辺で混獲されて死亡したサメから取り出した。母親の胎内にいる胎仔の生態は謎に包まれた部分が多い中、貴重な記録となる。
沖縄美ら島財団と琉球大学の共同でX線CTスキャンを使って妊娠中期の胎仔を撮影し、あごの内部にある形成途中の歯を観察し、「胎仔の歯」から「大人の歯」に生え替わる過程を捉えることにも初成功した。
同財団の富田武照研究員は今回の成果に関し「いろんな研究に使っていこうと思う。おなかの中で赤ちゃんが生きていくためには、酸素を採取しないといけない。今後、赤ちゃんがどうやって生きているのか生理学的仕組みを調べていきたい」と語った。