「学業専念の環境を」 外国人留学生問題で識者 国制度の見直しも指摘


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 外国人留学生が入管難民法で定められた週28時間以内の就労時間を守らず、不法就労が常態化している。沖縄県内で外国人留学生の人権擁護活動をしているNPO法人代表の男性が7日、琉球新報の取材に応じ、不法就労の実態について「事実だ」とした上で、「学生や学校だけの問題ではない。28時間以内の就労時間では学生は学費も払えず、生活もできない。学生が安心して学業に専念できるよう国の制度そのものを見直す時期に来ているのではないか」と指摘した。

 男性によると、留学生らは入学前に1年分の授業料や寮費などを支払う。100万円以上で借金をする学生も多く、入学後、次年度の学費や沖縄での生活費を賄うためアルバイトをしなければならない学生がほとんどだという。

 学費は年間約60万~70万ほどかかり、月1万~3万円台の寮費も上乗せされる。沖縄県の最低賃金は時給714円で、規定時間の28時間目いっぱい働いたとしても月8万円程度の収入しか得られない。3年前に沖縄に来て当初、工場や介護施設で働いたほか、現在はコンビニの深夜勤で学費などを稼ぐネパール出身の男子学生(25)は「給料が安すぎるから長時間働かないといけない。仕事に疲れて、何のために沖縄に来たのか分からなくなる時があった」と窮状を訴える。

 こうした実態について、NPO法人代表の男性は「多くの外国人留学生がベッドメイキングなどの肉体労働や、深夜のアルバイトに従事しているのは、学費や生活のため、より高い賃金を求めているからだ」と説明。「彼らは日本人が嫌がる仕事もこなし、ある側面では沖縄の経済を支えている。1週間で働ける28時間以内の規定時間を緩和し、彼らが学費や生活に不安を覚えることなく安心して学べる環境をつくるべきではないか」と話した。(嘉数陽)