【アルゼンチン】県人連合会を安倍首相訪問 日系人千人歓迎


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57年ぶりとなる日本の首相の公式訪問で、日系人らの熱烈な歓迎を受ける安倍晋三首相(中央)=2016年11月21日、ブエノスアイレス市内

 安倍晋三首相が昨年11月、米国、ペルーに続いて訪問したアルゼンチンで、首都ブエノスアイレス市内にある沖縄県人連合会会館を訪れた。約千人の日系人による歓迎会に出席した安倍首相は「日本とはちょうど地球の反対側だが、心は地球を真っすぐ貫き、皆さんとつながっている」と述べた。安倍首相は両国の友好親善に日系社会が貢献していると謝意を表し、今後5年間で日系人約千人を日本に招くと表明、日系人共済会の診療所に医療機器を提供することも伝えた。県人会会館訪問には昭恵夫人が同行した。

 安倍首相はその後、大統領府に移り、アルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領主催の午餐会(ごさんかい)に出席。日本の首相によるアルゼンチン訪問は安倍氏の祖父の岸信介氏以来、57年ぶり。安倍首相はあいさつの中で「日本にとっての重要性、南米における地位、美しく素晴らしい国でもあるアルゼンチンに57年間も日本の総理大臣が訪問していなかったのは日本の外交政策において間違っていたのではないかと思う」と話した。

 その後、日本貿易振興機構(ジェトロ)主催の「日本・アルゼンチン経済フォーラム」に出席。アルゼンチンの現マクリ政権(2015年12月発足)は、前政権の保護主義的な政策による投資の停滞を払拭(ふっしょく)するため、貿易・投資振興施策を日本の大手企業に紹介した。特にインフラ事業では今後4年間に1千億ドルの大幅な投資計画を打ち出しており、丸紅、三井物産、三菱商事などの参入が期待されている。

 また、2010年より日亜貿易縮小の影響で閉鎖されていたジェトロの現地事務所が再開されることになったことから、安倍首相は「両国間投資協定のビジネス環境の改善に取り組みたい。2国間投資協定の法的枠組みの構築やビジネス環境の改善にも取り組んでいく」などと語った。
(大城リカルド通信員)