剣道・高校冬季大会 小禄(男子)2度目栄冠 興南(女子)5年ぶり制覇


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 剣道の第48回高校冬季大会は15日、沖縄県立武道館アリーナで男女の団体戦を行った。決勝リーグで男子の小禄は獲得した本数差で興南を抑え、1969年の第1回大会ぶりの栄冠に輝き、女子は興南が全勝で5年ぶり13度目の優勝を果たした。優勝した両校は第26回全国高校選抜大会(3月・愛知県)に県代表として派遣される。

◆臥薪嘗胆、全国つかむ/小禄

男子団体決勝リーグ 小禄―興南 激しく攻め込み面を決める小禄の友寄聖(左)=15日、県立武道館(大城直也撮影)

 昨年10月の新人大会で興南に大敗した小禄は「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」を胸に誓い、再び相まみえた難敵を打ち破った。顔を真っ赤にしてうれし涙で抱き合う選手ら。大浦勲監督も「年末年始の県外遠征で約150試合を経験したことで、選手らが自分の剣を貫く強さを持てた。いい試合だった」と目を潤ませた。

 決勝リーグ最終戦を1勝1敗で迎えた小禄は、先に2勝した興南に3―1以上で勝つことが優勝の条件で、守りの姿勢は許されなかった。

 先鋒(せんぽう)で勝負を決めたかった興南に対し、先に一本を奪われた宮城太人が粘りの剣道で引き分けへ。次鋒で1年の井上翼は、迫る相手の面に「きれいに入るのが分かった」という小手で機先を制した。

 中堅で主将の友寄聖の相手はいまだ勝ったことのない興南の要・西原地洋。友寄は、昨夏の高校総体でスタメンから外れた悔しさから、那覇市在住ながら自分を追い込むため、両親に無理を言って寮に入った。「死ぬ気で頑張った日々を無駄にしない」。気迫に満ちた友寄は、西原が居ついた瞬間を逃さず面をたたき込んだ。

 副将で1年の佐藤虎太朗は、激しい打ち合いの末惜敗。2―1で迎えた大将戦。北山龍之介が面中心で攻める相手に狙い澄ました小手を決め、優勝をつかみ取った。

 興南の澤村卓巳監督は「先鋒と次鋒で決められず、中堅の西原まで負けたのが痛かった。小禄の試合運びはうまかった」と評価した。

 初の全国選抜派遣を手にした友寄主将は「多くの人の支えで個々の選手が力を付け、勝利に徹することができた」と、保護者や指導者らへの感謝の言葉を繰り返した。(嘉陽拓也)

◆2人の1年生大活躍/興南

女子団体決勝リーグ 興南―小禄 果敢に攻める興南のペリー里佳ニコール(右)

 興南の決勝リーグの最終戦、前回大会で敗れた小禄に雪辱を期す活躍を見せたのは、1年生の大城愛莉とペリー里佳ニコールだった。

 先鋒(せんぽう)の大城は、対戦経験のない上段構えの相手に「面を合わせると先に打たれる」とみて、間合いを維持しつつ、相手が居ついた瞬間を攻め抜いて面で一本勝利。「重圧の中でも自分の剣道ができた」と仲間につないだ。

 次鋒・稲福真旺、中堅・仲村知紗は粘って引き分け。副将はペリー。後がなく、攻め立てる相手との相打ちに「一瞬遅れていたら負けていた」と冷や汗をかいたが、つばぜり合いの中で「狙っていた」と引き小手を決めた。続く大将・宮城舞衣の引き分けで優勝を決めた。

 チームがひと皮むけたのは、昨年の九州大会で負けた他県の選手らが互いの反省点を言い合っていた場面を見たことだった。仲村主将は「仲良しチームだった興南にはその関係性がなかった」と痛感した。以後、新チーム強化のため、主将として時に厳しく指摘してきたという。

 着実に成長する選手らに、澤村卓巳監督は「控えのいない5人チームだが、その分団結している。全国でも選手が持てる力を十分に発揮させたい」と、大舞台での躍進を誓った。
(嘉陽拓也)