「第1回沖縄空手国際大会」の2018年8月の開催が16日、決まった。県内各流派が本来の「型」を見詰め直し、源流を再考する点に大会の意義がある。各流派が大会を機に、組織化を目指すことになるが、促進につながれば、それぞれの「人と技」の継承・発展に大きな一歩となる。
大会では各流派ごとに本来の型を再検証しつつ競技し、それぞれのチャンピオンを決めることが想定されている。沖縄の伝統的な型について、国際レベルで同様の大会はこれまでになく、各流派の伝統を守りながら、沖縄空手の振興を図る画期的な内容だ。
大会の競技で組手はなく、「型」のみとしたのも明確な狙いがある。先人らが体系化し引き継がれてきた沖縄空手だが、県外への普及などもあり、逆に各流派とも型の技の継承について統一感が欠けている課題がある。それを組織化し原点回帰することが、将来を見据えた上で、各流派やその技一つ一つの特性を生かし続けることにつながる。
沖縄伝統空手道振興会の喜友名朝孝理事長も「型をしっかり、かたくなに守っていこうという、各流派を大事にしようとする流れがある」と国際大会を評価。「各流派の審判を設けることになるだろう。流派別に優勝者を決める初の試みとなるだろう。大会が成功するようにしていきたい」と期待を示した。
名称にこだわった点がある。「沖縄空手」と「型」だ。県によると伝統空手、古武道を網羅する形を沖縄空手とし、独自性を打ち出している。競技の「型」も「変化していく『形』ではなく、将来にわたり崩されることがないことを意味する『型』」と表記することで、関係者らが伝統を再認識し、発祥の地としての発信力を狙う。
沖縄空手界の再統一という旗印の下、結成された沖縄伝統空手道振興会が大会の主催の一員で、同会の象徴となる沖縄空手会館を会場の一つにする点も、国際大会に向ける県や空手団体の意気込みが見える。
期待の声が大きい中で、各流派とも元来の型の再検証が重要な作業となる。
今後は競技と審判専門部会をそれぞれ設けるなど、組織化に向けた県のリーダーシップが課題となる。
空手振興課の山川哲男課長は「世界に広がる空手を本場の沖縄に習いに来たら、オリジナルの型を伝えることが重要だ。今後各流派の出場できる型とその基準を決めていきたい」とし、伝統空手の本来の姿を取り戻す決意を示した。
(外間崇)