見えない沖縄基地政策 トランプ次期米政権・閣僚指名公聴会


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 【ワシントン報告・問山栄恵本紙特派員】トランプ次期米大統領が指名した閣僚候補の公聴会が10日から、上院の関係各委員会で始まった。翁長雄志知事ら県民の根強い反対がある米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題など沖縄の基地問題に取り組むことになる国務、国防の両長官の指名承認公聴会も11、12の両日開かれた。政権与党になる共和党は、安全保障分野を中心とする主要閣僚を新政権発足日の20日に承認できるよう、各委員会での審査を急いでいる。

 国防長官に指名された元中央軍司令官のマティス氏は在沖海兵隊のグアム移転について「就任後に、現行計画を精査したい」と回答。コスト削減を目指すトランプ氏の下、マティス氏が計画が遅れ、コストが膨らみ続けるグアム移転を見直す可能性も出てきた。マティス氏は「アジア太平洋地域は優先課題であり続ける。アジア太平洋地域における軍事態勢を維持すべきだ」と述べ、引き続き米軍の前方展開勢力を維持する考えを示した。

 国務長官に指名された前エクソンモービル会長のティラーソン氏は公聴会で、尖閣諸島について「NATO(北大西洋条約機構)のような協定ではないが、合意に従って対応する」と述べ、日米安全保障条約の適用対象との認識を表明した。両氏とも、東シナ海や南シナ海での中国の海洋進出に対して、「政策を練る必要がある。強い立場で臨むには強い軍事力を維持しなければならない」(マティス氏)「中国に人工島建設を止めるように明確なシグナルを送る必要がある」(ティラーソン氏)とし、強硬姿勢を取ることを示した。

 だが、両氏とも公聴会では無難な答弁に終始。次期大統領が掲げる「米国第一主義」を具体化する外交政策は示されなかった。普天間移設問題や沖縄基地負担軽減に対する新政権の方針はまだ見えてこない。(随時掲載)