ガイド付きバスツアー、中国客に人気 訪問先絞り、予約倍増


この記事を書いた人 志良堂 仁
中国語ガイド付き「沖縄中文音楽バス」に参加する中国人客ら=23日、那覇市県庁前

 沖縄県内旅行大手の沖縄ツーリスト(OTS、那覇市、東良和会長)は個人旅行で沖縄を訪れる外国人客の県内観光需要を取り込むため、2016年12月から中国語ガイド付きの「沖縄中文音楽バス」を始めた。バスツアーは毎日運行しており、ガイドが沖縄の歴史や文化を紹介するほか、三線を弾いて沖縄の民謡も披露する。毎日運行する中国語ガイド付きのバスツアーは県内初。同社は2月中旬以降、那覇市内の史跡やグルメ巡りツアー「沖縄万歩」の販売も始め、着地型商品を強化する。

 「沖縄中文音楽バス」は16年10月から試験的に運行を始め、12月から本格的に稼働した。12月単月の利用者100人を目指し、目標を上回る116人が参加した。今月も好調に推移し、23日現在で約240人と先月に比べ倍増した。参加者は、運転免許証が日本国内で認められないため、レンタカーが利用できない中国人客が最も多く、台湾と香港人客が続く。

 同ツアーは県内のほかの日帰りバスツアーと違い、立ち寄る観光地は沖縄美ら海水族館(本部町)と古宇利島の古宇利オーシャンタワー(今帰仁村)の2カ所に絞り、季節によって桜見物など本島北部の特別体験も加える。

 家族4人と一緒に参加した中国・上海の謝さん(32)は「ほかのバスツアーと比べ立ち寄る場所が少なく、ゆっくりできるため、このコースを選んだ。一般のタクシーやバスと違い、中国語での交流もできるので、とても助かった」と話した。

 沖縄ツーリストは昨年から中国最大の旅行予約サイト「Ctrip(シートリップ)」と連携し、同サイトで同バスツアーを販売している。現在参加者の約6割は出発前に同ツアーを予約しているという。

 外国人客向けの新旅行商品開拓を手掛ける同社国際部の閔祥凱(みんしゃんかい)専門部長は「これまで団体客の県内観光コースは海外の旅行会社が作っていたが、沖縄の最もきれいな所へ行っていない。近年、個人旅行が増えており、今後地元主導で海外客への沖縄の魅力発信を強化していく必要がある」と話した。(呉俐君)