【中城】中城村教育委員会はこのほど、村内の小中学校の児童生徒による新聞投稿をまとめた冊子を完成させた。冊子は村内外の教育機関や関係者に送付する。編集は教育長の呉屋之雄さん(73)が担当した。呉屋さんは1997年に沖縄市立美東中学校に校長として赴任して以来、浦添市教委、那覇市立神原中で新聞投稿を冊子にしている。3月で退任する呉屋さんにとって中城村での4冊目が、最後の冊子となる。
中学で数学を教えていた呉屋さんが教え子らに新聞投稿を促し始めたのは、道徳の授業がきっかけだ。生徒に感想を書かせても2~3行しか思いを表すことができない。呉屋さんは「新聞投稿は書く力、表現力、語彙(ごい)力の三つの能力を向上することができる。何より自信になる」と語る。手応えは「ひしひしと感じている」という。
毎朝、新聞投稿の欄を見ていると言う呉屋さん。生徒に投書を促し始めた当時は、現在のような児童生徒の欄はなく、大人と交じって掲載されていた。児童生徒の投稿が載ると反響もある。「生徒本人よりも、保護者のほうが喜んで、親戚中に電話したと聞いた」と笑顔を見せる。
今回、完成した冊子には教育長任期時代の4年間で集めた約70稿や、新聞に掲載された児童生徒の活躍、本紙の連載記事である「校歌探訪」を収録している。呉屋さんは「児童生徒は先生が促せば応えてくれる」と語る。生徒らには「徹すれば、道は開かれる。そうすれば何事でも自分の力を発揮できる」とエールを送った。