疑惑 払拭できず 潔白主張も根拠なく 安慶田副知事辞職


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会見を終え、報道陣に一礼する安慶田光男前副知事=23日午後3時12分ごろ、県庁

 疑惑の否定からわずか3日、教員採用試験での口利きなど疑惑の渦中にいた安慶田光男前副知事が23日、辞意を表明した。最後まで「報道されたような事実はない」と繰り返した。しかし、客観性に乏しい内部的な調査結果のみを根拠とした潔白主張に終始した感は否めなかった。疑惑を払拭(ふっしょく)し、県民が納得できる説明を口にすることは、ついになかった。

 23日午後3時、辞意が翁長雄志知事に受け入れられ、吹っ切れたような表情で県庁1階ロビーでの記者会見に臨んだ安慶田前副知事。用意した原稿を手に「県政運営に混乱と停滞を招き、県民にご迷惑を掛けたことを深くおわびする」と頭を下げ、謝罪した。

 20日の会見で「進退の問題にはならない」と言い切った安慶田前副知事だったが、翌日には弁護士を通じて翁長雄志知事に辞意を伝えていたことも判明。報道陣から「1日で何があったのか」との質問が相次ぐも「何もない。熟慮した末、タイミング的にもこの時期だと結論を出した」と繰り返し、追及をかわした。

 この日の会見は前回と違い、報道陣を見回す余裕も見せた安慶田前副知事だったが、翁長知事が推した候補者が落選した22日の宮古島市長選挙が辞意に影響したのかについて問われると一瞬、「何を言うのか」と言わんばかりの表情を見せ「選挙とは関係ない」とだけ答えた。

 約11分で終了した会見。最後の質問に答え、米軍基地問題で政府との窓口として尽力した約2年を振り返り「県政を支え、辺野古に基地を造らさないと頑張った。県政が民意をバックに政府とやりあったことについては、沖縄県の100年、200年の大計をつくるため素晴らしいことだったと思う」と誇らしげに締めくくった。