「人生変える一冊を」 県立図書館が子ども支援


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 県立図書館が本を団体へ長期間貸し出しする「一括貸出」のサービスが子どもの居場所作りをしている団体や施設へ広まっている。2015年度に5団体だったのが16年は12月末までに既に15団体が利用している。県立図書館の担当者は「多くの子どもたちが本に出会える機会が増えてほしい」と話し、利用している団体からは「子どもたちが本に触れる機会が目に見えて増えている。すごくいい取り組み」と喜ばれている。

「一括貸出」の利用を呼び掛ける県立図書館奉仕班の新垣剛主査=那覇市の県立図書館

 「一括貸出」は1987年から始まった。一度に最大400冊貸し出され、本島内は最長6カ月、離島では1年借りることができる。当初は離島やへき地など地理的に読書環境が厳しい場所での貸し出しが目的だった。次第に家庭的、経済的に読書が難しい子どもたちがいることが分かり、子どもの居場所づくりをしている団体や施設への貸し出しをするようになった。

 絵本や紙芝居など子ども向け以外にも子育てやビジネスなど大人向けの本があり、一般貸し出し用とは別に約6万冊を用意している。調べ学習や行事、子育て支援にまつわる本などを集めた貸し出し用が32種類204セットある。希望したジャンルの本を選び借りることもできる。借りた団体や施設から地域へ本を貸し出すことも可能だ。

 「那覇市母子生活支援センターさくら」は子どもたちへの読み聞かせや地域への貸し出しなどに利用している。当真郁子所長は「本があるという環境は子どもたちにとってすごく重要で、すごくいい取り組み」と声を弾ませる。

 県立図書館奉仕班の新垣剛主査は「本との出合いで人生が変わることもある。一括貸出で多くの子どもたちが人生を変える一冊に出会える機会が増えてほしい」と語った。

 一括貸出の問い合わせは県立図書館(電話)098(834)1218。(屋嘉部長将)