県は2018年夏に登録の可否が決まる「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産の実現に向け、県民への周知と意識向上を目的としたフォーラムを14日、那覇市の県立博物館・美術館で開いた。基調講演では11年に国内4番目の世界自然遺産となった小笠原諸島の渋谷正昭小笠原村副村長が同村での取り組みなど先進事例を紹介。「まずは地元民に自然価値を認識してもらうことが大切だ」と述べ、行政や管理機関による周知イベントの積極的な開催を推奨した。
渋谷副村長は小笠原諸島が遺産候補地となった際、経済効果への期待が高まる一方、観光客の急増による環境負荷の懸念も抱くなど、地元の反応はさまざまだったと振り返る。登録から6年目を迎える現在でも外来種対策や希少種の保全など課題が多岐にわたるからこそ、「地元民の理解と協力が、不可欠だ」と強調した。
パネル討論で登壇した宮城邦治沖国大名誉教授は「遺産登録は理想だ」とした上で、やんばる国立公園に隣接する米軍北部訓練場の存在は無視できないと指摘。今夏、現地調査するユネスコの諮問機関、国際自然保護連合(IUCN)の厳しい基準をクリアできるかについて、「ハードルは高い」と苦言を呈した。