土地闘争熱演、感動呼ぶ 伊江島の非暴力描く 東京公演


この記事を書いた人 新里 哲
演劇「命どぅ宝」で、不発弾の爆発によって亡くなった仲間の骨を、米軍の演習場に入って先祖の墓へ持って行くシーン=東京都池袋の東京芸術劇場シアターウエスト

 【東京】米軍による土地の強制接収に沖縄住民が激しく抵抗した1950年代の「島ぐるみ闘争」を舞台にした演劇「命(ぬち)どぅ宝」が2月2~12日、東京芸術劇場シアターウエストで上演された。劇団文化座(東京都)の創立75周年記念第1弾で、観客は文化座団員らの熱演に感動した様子だった。

 物語は伊江島の土地闘争を舞台に、阿波根昌鴻さんと瀬長亀次郎さんの動きを中心に展開した。米軍による銃剣とブルドーザーで土地を奪われた阿波根さんら伊江島の農民たちは非暴力による座り込みで抵抗し、それを瀬長さんが県民の島ぐるみ闘争に変えていく様を描いた。2人の重みのある発言、物語の展開、場面など、基本的要素は、ほぼ史実に忠実に再現された。

 演出では、沖縄の三線や唄、踊りも交えられており、これに手拍子で応える観客も。農民らが米軍の演習場に入って、不発弾の爆発で亡くなった仲間の骨を先祖の墓へ持って行くシーンでは、涙を流す観客が多く見られた。