神の島・久高島にオーケストラがやってきた イザイホーを楽器で表現


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献奏曲「イザイホーのテーマ」を演奏する琉球フィルハーモニックオーケストラ=18日、南城市の久高小中学校体育館

 琉球フィルハーモニックオーケストラ(琉球フィル)による「県民クラシックコンサート2017」(琉球フィル主催)が18日、南城市の久高小中学校体育館で、19日には今帰仁村の今帰仁中学校でそれぞれあった。県民に広くクラシック音楽を提供することを目的とした演奏会。オーケストラによる演奏は初めてという久高島公演を取材した。

初めてオーケストラと共に「ファムレウタ」を披露する新良幸人

 幕開けは普久原恒勇作曲の「イザイホーのテーマ」。琉球フィルは久高島で演奏できることへの感謝を込めて「献奏」という形で披露した。1978年を最後に途絶えている祭祀(さいし)「イザイホー」を管楽器や打楽器で表現しようという試みだ。その演奏には神々しさを感じた。

 コンサートでは、オーケストラに触れる機会が少ない人たちのために親しみやすい演奏を心掛けている。楽器がどういう音を出すのかを沖縄のメロディーで紹介した。ホースとじょうご、マウスピースを使って歌劇「アイーダ」の「凱旋(がいせん)行進曲」を吹くコーナーや、指揮を体験するコーナーもあり観客を楽しませた。

指揮を体験する久高島の中学生(右)

 ポピュラーなクラシック曲や映画、ゲーム音楽なども演奏した。ホルストの組曲「惑星より『木星』」ではオーケストラによる生演奏の醍醐味(だいごみ)を伝えた。

 後半は石垣島出身の唄者新良幸人を迎え、オーケストラの演奏をバックに代表曲「海の彼方」「ファムレウタ」などが披露された。新良は「初めてオーケストラと一緒に歌ったので感動した」と話した。

 指揮の松元宏康は「特別な場所で(指揮を)振らせていただいた。『イザイホーのテーマ』を演奏できた。敬虔(けいけん)な気持ちでいっぱいだった」と語った。

 毎年地域社会の貢献を目的に開く県民クラシックコンサート。久高島での開催は演奏者にとっても貴重な体験になった。
(金城実倫)