【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】米議会調査局は22日、日米関係に関する新たな報告書を公表した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設について「最近の東京(日本政府)に好意的な判決があったにもかかわらず地元が反対し、論争となっている普天間飛行場の移設合意の履行には懸念が残っている」と分析した。理由として、辺野古移設に反対する翁長雄志知事が「さらなる建設の阻止または遅延をするための他の戦略を追求している」と解説した。
報告書は、名護市辺野古移設を巡る代執行訴訟での和解案受け入れや、最高裁判決など経緯を説明。翁長知事が、ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設が条件の北部訓練場の過半返還式典に欠席し、名護市安部海岸での米海兵隊輸送機MV22オスプレイ墜落事故を受けた緊急抗議集会に参加したことを記し、県と日米両政府との対立関係を指摘した。「東京とワシントン(米政府)による高圧的な行動が反基地抗議の激化を招く危険が残っている」とも分析した。
過重な米軍基地を抱え、沖縄の歴史や日米両国との複雑な関係から、沖縄住民は一般的に米軍基地に対して否定的に捉えていると指摘。その上で県民の懸念が広がっているとし「在沖米軍のプレゼンス(存在)の持続性は、(日米)同盟にとっての重大な課題として残る」と明記した。
10日の安倍晋三首相とトランプ米大統領の会談について「広い意味では成功」としつつも「日米関係がトランプ政権下でどう展開していくか疑問が残る」と分析した。
米側が尖閣諸島に対する日米安保条約5条適用を明言したことは「日本政府を安心させた」とした。しかし経済関係と防衛分野の費用分担問題を「最も論争を呼ぶ問題」だとして、今後も日米関係を左右する可能性があるとも分析した。
報告書は16日に議会に提出された。