今こそ辺野古に代わる選択を シンクタンクNDが提言


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画が「唯一の選択肢」だとする日米両政府に再考を促すため、シンクタンクの新外交イニシアティブ(ND)が提言書「今こそ辺野古に代わる選択を」をこのほどまとめた。

 辺野古移設計画について、軍事や安全保障面から柳沢協二元官房副長官補、ジャーナリストの屋良朝博氏、半田滋東京新聞論説委員、佐道明広中京大教授ら専門家が検証し、「辺野古が唯一」とする日米の立場に一石を投じた。NDは27日に那覇市でシンポジウムを開く予定だ。提言の主な内容を紹介する。

◇海兵隊の沖縄県外移転「合流方法変えれば可能」

 米海兵隊の各種部隊は約半年ごとのローテーションで沖縄に駐留している。米軍再編によって主力部隊がグアムに移転した後は県内には司令部機能と31海兵遠征部隊(31MEU)が残ることになるが、提言書は31MEUの運用面を考えた場合、県外への移転は可能だと指摘している。

 提言書は、米軍にとって沖縄はローテーション展開してくる部隊と佐世保(長崎県)からの揚陸艦を合流させる「ランデブーポイント(落ち合い場所)」としての機能があることを例に挙げている。

 米本国から派遣される海兵隊員が航空機で日本にやってきて長崎で揚陸艦と合流させるなど、待ち合わせの方法を変える運用見直しを実施することで「ランデブーポイントは沖縄でなくてもよい」との結論を出した。

◇日米の人道支援協力「アジアとの関係災害救助で醸成」

 日米が協力して人道支援・災害救助(HA/DR)に対応する「日米JOINT MEU for HA/DR」の常設は、「大規模災害に対応する国際体制づくりが今日的な安全保障政策の重要なテーマ」だと提言した。

 米海兵隊と自衛隊が災害救助能力を生かすことでアジアの国々との信頼関係の醸成、地域の安定化に向けた基盤構築につなげることを目的とする。

 提言によると、フィリピンやタイで実施されるHA/DRの訓練には米軍、自衛隊のほか中国軍も部隊を派遣している。協調関係を良好に維持するため、沖縄に連絡調整センターを設置し、中国を含めたアジア諸国が安全保障を議論する場所として活用することで、東シナ海や南シナ海での緊張緩和につなげる狙いも打ち出した。

 一方、米国防費の大幅カットにより海兵隊の内実が厳しいことも指摘した。そのため、災害救助のための高速輸送船を日本政府が提供することで、日米でHA/DRに対処する体制を構築することを目指す。