介護の楽しさ伝えたい 専門職ら無料誌発刊 働く人目線で編集


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
福祉応援雑誌を発刊した(左から)諸見里安知さん、大城生さん、徳盛裕元さん、大城孝謹さん=那覇市久米の沖縄福祉保育専門学校

 福祉への関心を広め、介護職のやりがいや楽しさを伝えたいと福祉の専門職でつくる「沖縄ケア交流会」が、無料誌「きらっと福祉人 人と人を繋(つな)ぐ介護へ」を昨年10月に発刊した。企画や取材を手掛けるのは、同会の徳盛裕元さんと大城生(しょう)さん。2人はデイサービスなどの介護事業所を運営している。福祉分野は離職率が高く、体力的にきついという指摘もある中、「元気で輝いている福祉人の声を届けたい」(大城さん)との思いから発刊に至った。

 福祉分野に携わる人が、福祉に特化した無料誌を作っているのは県内では珍しい。年4回のペースで発行し、部数は1万部。生き生きと年を重ねている高齢者のインタビューを巻頭ページに盛り込み、介護福祉士や理学療法士、相談員らを紹介するコーナーを設けた。創刊号は「劇団でいご座」を率いる仲田幸子さん、2号は東洋大学ボクシング部総監督の金城眞吉さんが巻頭ページを飾った。創刊号は高齢者や車いす利用者が入りやすいカフェを紹介、2号は温泉特集を組むなど娯楽の情報も充実している。

 沖縄福祉保育専門学校の諸見里安知さんが編集を支援し、編集方針を助言している。発刊経費は、後半ページの広告料金でまかなっている。諸見里さんは「団塊の世代が75歳以上になる2025年度は、県内で福祉関係職4343人が不足するといわれている」と強調する。「福祉を盛り上げる雑誌を続けるために、福祉事業所の協力が必要」と賛同者を募っている。

 徳盛さんは「誰もがいずれは介護される側になるし、家族の介護に関わる機会もある。介護はつらいだけではない。元気をもらえるような雑誌にしたい」と笑顔を見せた。大城さんは「介護職のニーズは確実に増える。介護に魅力を感じる人が増えたら、ひいては福祉サービスの質向上につながる」と意気込んだ。

 「きらっと」は県内のほとんどの市町村役場(住民課など)と、石垣市社会福祉協議会、宮古島市社会福祉協議会などに置いている。問い合わせは営業担当のエドワードペンシル(電話)098(988)3158。