社会人野球の沖縄電力(浦添市)はプロ野球・千葉ロッテと独立リーグ四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスから県出身の投手を迎え、投手力を増強し今シーズンを迎える。入団したのは昨年末ロッテを自由契約になった26歳の川満寛弥=宮古総実高―九州共立大出、高知からは26歳の平良成(おさむ)=浦添高―琉球大出。共に新天地での活躍に意欲を示し、チームの「日本一」を掲げ練習に励んでいる。社会人野球は11日の東京スポニチ大会で開幕。九州では、4月から第88回都市対抗野球大会の1次予選が各地区で開かれる。県内では読谷村などで18日に開幕する第35回石川逢篤杯争奪硬式野球大会が公式大会のシーズンスタートとなる。川満、平良両投手とも選手登録は既に済ませており、同大会からメンバー入りする予定という。(崎原有希)
◆元ロッテ 川満/経験生かし再起期す
4年間をロッテで過ごした186センチの大型左腕・川満寛弥。プロでは1軍の登板はなかった。「あっという間だったが得たものも多かった。どん底も経験できた。悪いことも含めて全てが良い経験だった」と振り返る。プロ経験を生かし、「投手陣のレベルを上げ、意識を高く取り組む環境ができたらいい」。地元・沖縄で「再起」を期す。
2012年のドラフト2位で入団したが、1年目からけがに泣かされた。2、3年目は運動障害のイップスによる制球に苦しんだ。考えがまとまらず、早く投げたい焦りから自らを制御できなくなった。
マイナス志向を排除し、少しずつ良い方向に進んだのが3年目終盤だった。投球に手応えを感じた。4年目の昨季はファームで先発ローテ入りし、イースタン・リーグで21試合に出場。成績は5勝4敗1セーブ。100イニングで85奪三振を記録したが、防御率は5点台だった。「結果が伴わず、悔しさが大きかった」
トライアウトを受けたが、プロの他球団から声が掛かることはなかった。自由契約となり、話があった沖縄電力への入団を決めた。1月中旬からチームの練習に参加し、時間は短くとも密度の濃い内容を心掛ける。当面は2人きょうだいの妹の元に身を寄せ、練習に励む日々を送る。
川満の武器は長身から繰り出すキレのある直球と緩急を生かした投球だ。「新しいチームで中心となり引っ張っていきたい。やるからには高いところで、上を目指しながらやっていきたい」。都市対抗出場と頂点を見据え、向上心は尽きることはない。
◆元高知 平良/チームへの貢献誓う
昨季までの3年間、独立リーグの高知ファイティングドッグスに所属した平良成が、成長への期待を胸に活躍の舞台を移した。高知では1、2年目は先発、3年目は抑えでの登板を多く経験した。最速154キロの真っすぐで勝負する174センチの右腕は、プロ野球のドラフト候補にも名を連ねた。新天地でのスタートは「成長のために思い切ったことができる」と、投球スタイルを含めた“チャレンジ”をテーマに掲げる。
高知では、抑えを経験したことで制球の精度の課題も見えた。「取り組んできたこと全てがつながった飛躍できた1年だった」という。プロへの階段を駆け上がっている実感はあったが、あと一歩届かなかった。
ドラフト会議の後、沖縄電力から声が掛かった。プロとの距離が近い高知で引き続きプレーする選択肢もあったが、環境を変えることを選択した。
スピン回数が多く、終速が落ちないキレのある投球が持ち味。特長である直球の強化はもちろん、「変化球でも勝負できるようにする」と引き出しを増やすことを心掛ける。
新チームでの背番号はメジャーリーグで活躍するダルビッシュ有や日本ハムの大谷翔平も背負う11番を選んだ。社会人での頂点を目指し、チームへの貢献を誓う。その先に、最高峰舞台のプロへの挑戦も見えてくる。