絵手紙で被災者と交流 沖縄協会・桑江会長 「こちらが勇気」継続へ


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岩手県の岩佐さんからの絵手紙を持つ桑江良憲さん。手前は、東北の絵手紙仲間らから届いたはがき=8日、琉球新報中部支社

 【沖縄】沖縄絵手紙協会の桑江良憲会長(77)=沖縄市=が東日本大震災以降、絵手紙を通じて東北3県の被災者らとの交流を続けている。四季の移ろい、植物の芽吹きなど被災地の自然の変化を敏感に捉えた東北からの絵手紙に、桑江さんは「苦労をしているだろうがそれをあまり表に出さず、こちらが勇気づけられている。これからも交流を続けていきたい」と話している。

 桑江さんは2011年の震災発生直後、手元にあった日本絵手紙協会の名簿に掲載されていた3県の会員78人にお見舞いの封書を送付。「コーヒーでも飲んで少しでも元気を出してほしい」との思いを込めて、それぞれに千円も送り、50人ほどからお礼の便りがあった。その後も年賀状のやりとりなどが続き、現在は10人ほどと絵手紙を通じた交流がある。

 2月には、桑江さんからの震災直後の手紙を6年ぶりに資料整理の最中に見つけたという宮城県亘理郡山元町の岩佐厚子さんから封書が届いた。

 当時、全国の仲間から同様の手紙をもらい「こんなに心配してくださる仲間がいるんだ」とうれし泣きしたこと、土台だけ残った建物の跡地に咲いた花に力をもらった思い出などをつづっている。昨年末に鉄道が復旧したものの人口は減少したまま。住宅も失ったが、趣味の絵手紙を支えに前を向いて暮らしていくとの近況報告もある。

 桑江さんは「岩佐さんをはじめ、一度もお会いしたことのない方々も多いが、やりとりが続いている。絵手紙の力を再確認した思いだ」と話す。「こちらが感動を与えられることが多いが、沖縄からの絵手紙も続けていきたい」と話し、震災の風化を防ぐ意味も込めて、今後も交流を継続していく考えだ。