海邦丸五世 伊江入港 高校実習船36年ぶり 村民に船内公開


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 【伊江】糸満市の沖縄水産高校(大城栄三校長)を3日に出港した県立高校実習船「海邦丸五世」が出港初日から1泊2日の日程で伊江港に寄港した。金城勝船長をはじめ、乗組員3人、実習生2人の伊江村出身者らを乗せた同船は、海邦丸三世以来36年ぶりに入港した。4日には船を一般公開し、村民や乗組員らの家族、同級生、同校卒業生ら子どもからお年寄りまで約330人が船内巡りを楽しんだ。

36年ぶりに伊江港へ入港した県立高校実習船「海邦丸五世」の乗組員=4日、伊江港

 「海邦丸五世」は499トン(国際総トン数741トン)。全長56・97メートルの船側には沖縄の「屋根瓦・海・空・太陽・花」をイメージした5色のストライプが描かれている。乗組員22人、同校専攻科1年生と本科の海洋技術科2年生の実習生45人を乗せ、伊是名、横浜、神戸を航海し、今月22日に帰港する予定だ。

 一般公開(村教育委員会主催)では、操舵(そうだ)室や機関室、機関制御室、冷凍機室、賄い室、食堂、生徒室などの船内を公開した。専攻科の生徒らが船内を丁寧に案内し、かじ取りを体験する子どもたちは目を輝かせていた。

一般公開でかじ取りを体験し、目を輝かせる子どもたち=4日、伊江港

 金城船長は「この公開をきっかけに船へ興味を持ってもらえたらうれしい。将来の水産業を担う人材を増やしたい」と語った。また、同校の卒業生でマグロ船の船長経験を持つ亀里敏郎さん(74)は「素晴らしい船だ。船長を含め後輩が育ってくれるのは感無量だ」と当時を懐かしんだ。伊江島の船の船長を夢見て同校入学を希望している知念稀琉君(11)は「レーダーや船の中を見られてすごくうれしい。早く船乗りになりたい」と感激していた。

 4日午後3時、「海邦丸五世」は汽笛を鳴らしながらゆっくり伊江港を後にした。甲板から大きく手を振る実習生に、家族らは航海の安全を願い手を振り続けた。(中川廣江通信員)