沖縄の「防災士」、全国最少 327人、資格取得の支援なく


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
災害時対応について議論する関係機関の沖縄防災連絡会=2016年11月、那覇市

 防災について十分な意識と一定の知識・技能を習得した人を認証する「防災士」の資格保持者が、沖縄県内は今年2月末現在で327人にとどまり、実数でも人口当たりでも全国最下位であることが分かった。防災士研修講座を実施する団体が県内になく、資格取得のために県外に出向く必要があることや、県外では広まりつつある資格取得への行政の補助がないことなどが要因となっているとみられる。

 防災士は、社会のさまざまな場で防災力を高める活動に取り組む人材を育成するため、NPO法人日本防災士機構が認証する民間資格。防災関連では国内で最も広く浸透している。法的な権限や義務を伴うものではないが、東日本大震災や熊本地震などの大規模災害発生を受け、その有用性が認知され、少なくとも43都道府県の316市町村が資格取得に対して補助金を出している。2月末時点で全国12万6240人の認証登録者がいる。

 また、自治体レベルでも資格取得促進の動きが高まり、全国で県や市町村など49団体、大学や高専など21団体、民間6団体が独自に防災士養成事業を実施している。

 県防災危機管理課は「防災士は災害時の避難所運営や支援活動などで活躍する重要な役割であることは認識している」としているが、県が防災士養成事業を実施したり資格取得に補助金を出したりした実績はないという。

 同課は市町村単位での実施についても「恐らくない」としている。今後、大学などと連携して養成事業に取り組んでいる他県の事例を参考にしつつ、琉球大学などで防災士養成の取り組みができないか提案しているという。

 NPO法人日本防災士会九州ブロック支部連絡協議会沖縄県ブロックの新城格代表は「他府県では防災士に対する行政の支援が進んでおり、沖縄でも必要だ。先日指定避難所の未指定や耐震性の問題も明らかになったが、行政の意識改革も重要だろう」と指摘した。(外間愛也)