約15年前、大宜味尋常高等小学校の同級生たちが忘年会で交わした「100歳まで続けよう」との約束を胸に、数え100歳を目前に控えた女性がいる。現在は浦添市西原の施設に暮らす大宜味村出身の金城マツさん(98)で、2017年度中に数え100歳となる。長寿の秘訣(ひけつ)を「好き嫌いなくたくさん食べること」と話す金城さん。家族や周囲の人々に見守られながら、穏やかな日々を過ごしている。
金城さんら1933、34年に同校を卒業した午(うま)年、未(ひつじ)年の同級生らは48年に「午未会(うまひつじかい)」を結成。県内外のメンバーらが1泊2日の忘年会を毎年開くなど、長年にわたって交流を続けてきた。
2002年12月18日付本紙には当時満年齢で83、84歳だった約30人のメンバーが参加し、恩納村内の宿泊施設で開かれた忘年会の様子を紹介する記事が掲載されている。
記事では「100歳まで続けよう」などと話しながら長年の親交をさらに深めたメンバーの様子が記され、掲載された集合写真には金城さんの姿もある。
大宜味村大兼久出身の金城さんは終戦を北部の山中で迎えた。3男3女に恵まれ、1956年からは那覇市内で生活。65歳の時に夫婦で故郷に戻って農業をして暮らしていたが、高齢になってからは寝たきりとなり、施設で生活している。
金城さんが一時的に入院していた那覇市の沖縄赤十字病院で2月28日、長男の邦男さん(73)と妻の信子さん(71)、次男の清孝さん(71)らが母親の誕生日を祝った。ささやかな誕生会は勘違いもあって「100歳おめでとう」となったが、金城さんは「祝ってもらってうれしい」と語り、子どもたちの歌に合わせて自らも歌った。
家族によると「午未会」のメンバーは数人が健在だが活動の情報はなく、交流は途絶えている。信子さんは「義母は15年前の切り抜きを自宅の壁に掛けた額に入れ、大切にしてきた。同級生たちとの約束通り、数え100歳をぜひ迎えてほしい」と話し、金城さんを優しいまなざしで見詰めた。