【嘉手納】嘉手納町の基地由来の悪臭問題について、実態調査を行った北海道大学の松井利仁教授が21日、基地内の滑走路の南側や旧海軍駐機場に悪臭の発生源があると推定されるとの調査結果をまとめた。町役場で開かれた議員や自治会長を対象にした報告会で発表した。
風向、風速、騒音、物を燃やした時に発生する「黒色粒子」の量や臭気の高低を表す「臭気レベル」を同町屋良のニライ消防本部で同時に計測した。黒色粒子の量と臭気レベル、風向に相関が見られ、改めて悪臭の原因が基地にあることが裏付けられた。
調査は15年9月から17年3月までで町が本年度、松井教授に委託し実態調査した。通年の基地の悪臭調査は初めて。調査で「黒色粒子」が騒音レベル上昇に伴い増加することが顕著だったことも分かった。高い黒色粒子が測定されたのは旧海軍駐機場方向から風が吹いた時だった。
臭気レベルは南風の強風時に常に高濃度であることから、南側の遠方に発生源があると推測された。
海軍駐機場は1月に基地内で移転し、測定地点から離れたため、移転前後で黒色粒子の量と臭気レベルが共に減少した。黒色粒子の数は大幅に減った。
臭気レベルは移転後、高濃度がほぼ測定されなくなったが、南風の強風の時は高値が検出される傾向がある。
松井教授は「今後は複数地点で同時測定しさらに悪臭源を絞り込む必要がある」と指摘した。
當山宏嘉手納町長は報告を受け「悪臭の存在は分かっていたが、科学的に裏付けられた。来年度は調査地点を3カ所に増やし、さらに調査を深めていきたい」と話した。