北島角子さん死去 85歳、一人芝居で平和伝える


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一人芝居「赤いブクブクー」を熱演する北島角子さん=2013年6月、那覇市の沖縄大学

 沖縄戦や沖縄戦後史を題材に、平和の尊さを伝える一人芝居などで活躍してきた女優の北島角子(きたじま・すみこ、本名・町田角子)さんが9日午後7時10分、腎細胞がんのため那覇市の病院で死去した。85歳。石垣市生まれ。生後間もなく本部町へ移り住んだ。自宅は宜野湾市志真志2の7の5。告別式は12日午後4時から4時45分、那覇市銘苅3の22、サンレー那覇北紫雲閣で。喪主は長女玉城由美子(たましろ・ゆみこ)さん。

 役者の父・上間昌成さんが巡業していた南洋パラオで戦争を体験した。過酷な戦争体験が反戦平和につながる舞台表現の原点となった。
 高校卒業後、父が役者だった影響で、芝居の道へ入った。演劇集団「創造」の「人類館」(知念正真作)への出演で従来の沖縄芝居から表現の幅を広げた。

 1979年の「島口説(しまくどぅち)」(謝名元慶福作)から一人芝居に挑み、自らの作品も次々と生み出した。RBCiラジオの長寿番組「民謡で今日拝(ちゅううが)なびら」のパーソナリティーも63年から2016年まで務めた。01年からはほぼ毎年、佐喜眞美術館で「こどもの日公演」として芝居を上演した。

 1981年に文化庁芸術祭優秀賞。89年に沖縄タイムス芸術選賞大賞。96年に山本安英賞、県文化功労者。99年に県指定無形文化財「琉球歌劇」保持者認定。2006年に琉球新報賞。12年に県功労者。16年に旭日双光章を受けた。戦争放棄を盛り込んだ憲法9条をうちなーぐちで読む舞台にも取り組んだ。