友達と楽しい思い出を作ってほしい―。収入が少なく、中学2年生になる長男(13)の修学旅行費の捻出が難しいと琉球新報が3月20日付紙面で報じた沖縄県沖縄市の男性(34)に対して、同県浦添市に住む65歳の女性が20日までに自身の年金から3万円の支援を申し出た。男性は「修学旅行に行かせられるめどがつき、ほっとした。感謝の言葉では言い表せられないぐらいありがたい」と涙ぐんだ。
男性と妻の月給は合わせて約17万円。中2の長男と1歳になる次男の4人暮らしで、生活費が足りずに両親から借りることもある。長男は修学旅行費などが助成される就学援助制度を利用しているが、助成を受けてもなお1万2千円以上の世帯負担が生じる見込みだ。
男性の悩みを紹介する記事を読んだ女性は「支援したい。年金暮らしなので支給日以降に父親に渡してほしい」と3月末に本紙に連絡してきた。
「離島出身で、私自身が幼少時代、貧しかった。いつか社会の役に立ちたいと思っていた」
女性は記者にそう語り「友達と一緒に修学旅行に行き、楽しく過ごして帰ってきてほしい」と支援に込めた思いを説明した。記者が18日、女性からの支援金を預かり、19日に男性に手渡した。
男性は「これまで子どもたちにたくさん我慢させてきた。『もしかすると、修学旅行も…』と不安だったが、支援のおかげで行かせられる。女性には感謝してもし切れない」と声を震わせた。(当銘寿夫)