西原の放置タイヤ11万本撤去へ 県、初の代執行


この記事を書いた人 志良堂 仁
高さ数メートルまで野積みされた廃タイヤを撤去する作業員ら=21日午前、西原町小那覇

 西原町の産業廃棄物処理業者「ドリームコーポレイション」が県の改善命令にも従わず、同町小那覇に違法に長年放置している約11万個の廃タイヤについて、県環境整備課は21日午前、「生活環境保全上の支障を速やかに除去する必要がある」として、業者に代わって撤去する行政代執行に着手した。県が廃棄物処理法に基づき代執行を行うのは初めて。

 現場に野積みされている廃タイヤは約800トン。県の委託を受けた宮城解体が12月28日までに500トンを撤去、その後も順次、作業を進めていく。撤去にかかる費用は約2500万円が見込まれ、確定次第、県はドリームコーポレイションに全額請求する。撤去した廃タイヤは粉砕処理でタイヤチップにし、九州の製紙工場に売却する。
 県によると、同事業者は03年に産業廃棄物処分業許可を取得した。集めた廃タイヤを廃棄物燃料となるタイヤチップにして中国など国外の業者に安価で売却していたが、原油価格の変動を受けビジネスが振るわなくなり、09年ごろから敷地内に大量の廃タイヤを保管するようになった。数年前にはタイヤの空洞にたまった雨水が原因で蚊が大量発生するなど、県には衛生面を不安視する周辺業者から多数の苦情が寄せられていた。
 事業者は11年ごろから産業廃棄物処理業務を停止している。【琉球新報電子版】