高校野球の春季九州大会(第140回九州大会)は24日、沖縄セルラースタジアム那覇などで2回戦5試合を行い、ベスト8がそろった。美里工は2―1で今春の選抜大会に出場した熊本工(推薦)に勝利、美来工科は文徳(熊本1位)と対戦し、延長十一回の末、2―1で競り勝った。県勢は沖縄尚学を含め3チームが8強入りした。美里工は四回に6番吉田竜二の適時打で先制。1―1の九回にも吉田が決勝打を放ち、逃げ切った。投げては先発の花城紘人が九回途中まで1失点に抑え、九回無死一、二塁から登板した島袋寿成が1奪三振を含め三人で締めた。美来工科は六回に先制を許すも、七回に6番比屋根京介と7番新垣海斗の連打や四死球による満塁押し出しの1点で振り出しに戻した。延長十一回1死二塁で代打に玉城幸人、代走に城間盛史が入り、玉城が決勝点となる適時打を放った。先発した比嘉太陽は5回を2奪三振の無失点と好投した。25日の準々決勝は、コザしんきんスタジアムで午前10時から沖縄尚学―秀岳館(推薦)、午後0時半から美来工科―神村学園(鹿児島1位)、沖縄セルラースタジアム那覇で午前10時から鹿児島実(鹿児島2位)―福岡大大濠(推薦)、美里工―九産大九州(福岡1位)は午後0時半から行う予定。
◆吉田躍動 先制と決勝打/美里工
美里工が最速149キロの剛腕エースを擁する熊本工を2―1で振り切った。試合直前に吉田竜二のスタメン入りを決めた神谷嘉宗監督の采配がはまった。6番を任された吉田は先制と決勝点の全2打点と躍動した。
四回、先頭の3番伊佐翼の安打や盗塁、5番知花稜也の安打で1死一、三塁の好機をつくる。続く吉田が「打ってチームのみんなを助けよう」と真ん中低めの直球を左前に運んだ。1―1で迎えた最終回。先頭の4番崎濱楓希が中前打で出塁し、1死二塁で再び打席に立った吉田がチームを8強入りに導く決勝点を挙げた。
吉田は朝の練習時のフリーバッティングで速球でも力負けしないコンパクトな振り抜きを見せ、神谷監督は調子の良さを見逃さず急きょ起用を決めた。吉田は驚きと緊張が大きかったというが、「チームの役に立ててうれしい」と殊勲の一打に破顔する。
低めの変化球や高めの釣り球を振らない選球眼で春の選抜大会に出場したチームを下し、準々決勝に進出したナイン。崎濱主将は「守備のミスをなくし、いつも通り打って勝てるようにしたい」と頂点に向けて意気込んだ。(崎原有希)
◆好機生かし延長制す/美来工科
1―1の延長十一回1死二塁、美来工科は一気に勝負に出た。代打に好機でフルスイングできる玉城幸人、代走に俊足・城間盛史の2人を送った。玉城は大役に驚きつつ、「苦しい試合を粘ってくれている。打ってやろう」とこれまで踏ん張っているチームメートを思い打席に立った。直球に狙いを定めると、内角高めに来た2球目を捉えて振り抜いた。
玉城が打った瞬間に迷わずスタートを切り一気に生還した城間。8強入りを決め、「次の試合に進めるのがうれしい」と笑顔を見せた。
この日、先発した比嘉太陽は5回を2奪三振無失点と好投した。小学5年生の頃から投手を務めるが、上手投げから下手投げに転向して約1年。高めの直球を主体とし、変化球を織り交ぜる緩急を付けた投球で次々と打ち取った。
延長戦の末に粘り勝ったものの、打ち損じも多かった。新垣海斗主将は「緩急を付けられて詰まった。どんな投手でも振っていけるようにしたい」と上位進出へ修正を誓った。
<きのうの結果>
▽2回戦
秀学館(熊本) 7―0 西短大付(福岡)
美里工 2―1 熊本工
美来工科 2―1 文徳(熊本)
(延長十一回)
鹿児島実 2―0 日南学園(宮崎)
九産大九州(福岡) 7―1 佐賀北
<きょうの試合>
▽準々決勝
【セルスタ】10時
鹿児島実―福岡大大濠
美里工―九産大九州(福岡)
【コザしん】10時
沖縄尚学―秀学館(熊本)
神村学園(鹿児島)―美来工科