「お気に入り 長く履いて」 革靴磨き専門で起業


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丁寧に靴を磨く仲程秀之さん。磨き終えた手前の靴は、光沢が目立つ=北中城村の作業場

 【北中城】長年手入れされず、汚れや傷の目立つ革靴が、見る見るうちに潤いと光沢を取り戻していく―。北中城村に住む仲程秀之さん(36)は、沖縄県内では珍しい革靴磨きの専門業者だ。4月には手入れ専門の法人「SHOESHINE FACTORY(シューシャイン ファクトリー)」を設立。「性別、年齢問わず、靴がきれいになると、人は笑顔になる」。大切な靴が少しでも長く履けるよう、一足一足、丁寧に磨き上げる。

 前職は革靴販売員。「もともと革靴に全く興味はなかった」というが、2009年に県内企業に就職し、同社が運営する靴屋に配属された。手入れ用品については「店の隅で売るくらいで、使い方もざっくりしか分からなかった」。

 勤務中、靴ケア用品の老舗メーカー「コロンブス」(東京)の手入れインストラクターと懇意になり、徐々に手入れの知識が増え始める。自身でも本などで学んだ。「俺、靴磨きます。」と題した店頭イベントを開き、日常的に顧客の靴の手入れもするようになった。

 「ピカピカになってる。ありがとう」。独立を考え始めた理由は顧客の感謝の言葉と、喜ぶ表情だ。昨年コザ信用金庫の創業講座を受け、独立。5畳弱の自宅の一室に作業場を構えた。

 同じメーカーの同じ靴でも、持ち主の履き方や歩き方によって、形状やシワの入り方は異なる。ほこりをはらう馬毛ブラシ、油分を落とすクリーナー、保全・光沢効果のある専用クリーム―。靴を膝の上に固定し、さまざまな道具を使って丁寧に工程を踏む。

 靴を磨きながら「一足も同じ靴はない。だからこそ楽しい」と笑う仲程さん。持ち込み、出張のどちらも対応する。週末にはバーや衣料品店で靴磨きイベントを開くことも多い。価格は1組1500円から。問い合わせは(電話)090(8412)1572。