美里工、攻守さえず 九州高校野球 準決勝


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
美里工―神村学園 5回美里工1死一塁、左中間へ安打を放つ佐久本晃雅=27日、沖縄セルラースタジアム那覇(大城直也撮影)

 高校野球の春季九州大会(第140回九州大会)第4日は27日、那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇で準決勝を行い、第2試合で美里工(沖縄2位)は神村学園(鹿児島1位)に11安打を浴び、0―7で七回コールド負けした。第1試合は、準々決勝で選抜8強の福岡大大濠(推薦)を破った鹿児島実(鹿児島2位)が、選抜4強の秀岳館(熊本・推薦)に3―2で競り勝った。決勝は28日、同球場で午前10時から行う。美里工は攻撃で好機を生かせず、守りでも初回から崩れた。最後まで流れを引き戻すことはできず、安打は1本に終わった。秀岳館は県勢の幸地竜弥(玉城中出)がスタメンで、石井卓弥(神原中出)が代打で出場し、いずれも打で結果を残した。鹿児島実は12季ぶり、神村学園は10季ぶりの決勝進出。鹿児島勢による決勝は2002年春の鹿児島実と樟南の対戦以来となった。

◆初回好機逸し 流れ渡す

 初回の攻防が全てだった。美里工は連続四球で得た無死一、二塁の場面でバントを失敗。三塁に走者を進められず、後続も連続三振し得点機を逸した。その裏、連続失策や暴投、四球で招いた1死一、三塁のピンチにスクイズで先制を奪われた。さらに、打者も進塁を許し走者をためられたまま、連打で計3失点。いきなり出ばなをくじかれた。

 試合を通して4失策、被安打11、8四死球で七回コールド負け。神谷嘉宗監督は「初回の攻撃からチャンスで流れをつかめず、選手が浮き足だった」と疲れ切った表情を浮かべた。崎濱楓希主将も県大会決勝の沖縄尚学戦を例に、「同じ負け方だった。大一番でのメンタルの強さがない」と悔しさをにじませた。

 攻撃は五回、吉田竜二が代打に立ち四球を選ぶと、続く佐久本晃雅が安打を放ち、1死一、二塁の反撃機をつくった。しかし打線はつながらず、結局、安打はこの1本に終わった。

 明るい材料は三回から登板した島袋寿成だ。制球に苦しむも尻上がりに調子を上げ、連打を浴びなかった。けがから回復した元エースは準々決勝で完投し、この日も結果を残した。「改善点も見つかる経験となった」と振り返り、投球を助けた捕手・崎濱に感謝した。

 昨秋の県大会初戦敗退から、春の県大会準優勝、九州4強と駆け上がり、試合を重ねたことは選手の貴重な経験となった。崎濱は「吉田らベンチの選手が活躍して勝った」と強調。さらなるチーム全体での底上げを誓い、夏の県大会へ向け新たなスタートを切る。(崎原有希)

<きのうの結果>
▽準決勝
鹿児島実 3―2 秀岳館(熊本)
神村学園(鹿児島) 7―0 美里工
  (七回コールド)

<きょうの試合>
▽決勝
【セルスタ】10時
鹿児島実―神村学園(鹿児島)