戦地から家族へ400通 糸満で戦死、日本兵絵手紙 那覇市歴史博物館で展示


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 福岡県から満州や沖縄に旧日本陸軍兵として出征し、沖縄戦で命を落とした伊藤半次さん=福岡県出身(享年32)=が戦地から家族へ向けて送った絵手紙を紹介する企画展「戦地からの便り 伊藤半次の絵手紙と沖縄戦」が那覇市久茂地の市歴史博物館で28日に始まった。6月27日まで。初日は伊藤さんの孫・博文さん(48)が来館し報道陣へ解説した。

 伊藤さんは1913年生まれ。ちょうちん職人で絵も学んだ。妻の禮子さんとの間に3人の子どもがいた。日本軍に召集され、満州に出征した。戦地の満州から約400通もの手紙を家族に送った。このうち約100通にはユーモアたっぷりに絵が描かれていた。何年も会えない息子の成長の姿を想像した絵もあった。44年10月下旬に沖縄へ配備された。米軍との戦闘で部隊はほぼ全滅し、45年6月18日に糸満市大度で戦死した。沖縄からの手紙は、わずか3通しか福岡の家族に届かなかった。

 市歴史博物館での企画展には沖縄から送った3通を含めて61通の絵手紙を展示し、伊藤さんの写真や道具なども紹介している。博文さんは「戦死した一人一人に家族がいた中で悲しい思いをした人がいることを感じてほしい」などと語った。

 29日午後2時から3時45分には博文さんが「戦地から愛のメッセージ」と題して講話する。

 問い合わせは那覇市歴史博物館(電話)098(869)5266。