海外からのクルーズ船が寄港する那覇市の若狭バースで、台湾客を対象にした「白タク」が横行している。旅客自動車運送事業の許認可を受けず、レンタカーを使って有償で運送する手法で、沖縄県内旅行会社がレンタカーと旅客を運送する際に必要な第2種運転免許を持たない運転手をセットで手配している。運転手は県内在住の中国出身者らで、客を中国語で案内。急増するクルーズ客への多言語案内が追い付かず「白タク」が常態化している。識者は沖縄観光への悪影響を懸念し、県や国、警察での早急な対応が必要と指摘している。
沖縄を訪れる海外クルーズ客の急増により、多言語対応できる運転手は需要が高まっている。しかし、第2種免許を持つ運転手は、ほとんど日本語でしか対応できないのが現状だ。
供給するタクシーと海外から訪れる観光客のニーズでミスマッチが起きている。
沖縄総合事務局運輸部陸上交通課は「旅行会社に限らず、第三者が運転手と車を一緒に提供する行為は運送類似行為に当たり、いわゆる『白タク』で違法だ」と説明する。今後の対応について「捜査権限がないので(白タク)行為が多く行われている場所で当事者に注意・指導するしかない。しかし、毎日現場に行けるわけでもなく(白タクが)減らない」と対応に苦慮する。
一方、レンタカーと運転手を提供する「白タク」行為をしている旅行会社の関係者が、30日までに琉球新報社の取材に応じた。
関係者は「急増するクルーズ客のレンタカー需要が高まっており、台湾の提携先の旅行会社からも、港でのレンタカーの引き渡しを求められていた」と説明した。
琉球大学観光産業科学部の下地芳郎教授は違法行為の横行に「トラブルがあれば沖縄観光のイメージ低下につながる」と懸念する。さらに「まず沖縄総合事務局や警察など関係機関の実態把握が重要だと思う。今後白タクが拡大しそうであれば、緊急連絡会議を開き対策を打つ必要がある」と指摘した。