屋良(105キロ級)自己新V 重量挙げ・全日本学生個人


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自己新の150キロを差し上げ優勝へ勢いをつけた屋良一郎のスナッチの試技(提供)

 重量挙げの第63回全日本学生個人選手権大会・第29回全日本女子学生選手権大会は30日、大阪の羽曳野市・はびきのコロセアムで最終日を行い、男子105キロ級で屋良一郎(沖縄国際大)がトータル330キロ(スナッチ150キロ、ジャーク180キロ)を挙げて頂点に立った。女子90キロ級の知念ひめの(糸満中―大阪産業大付高―平成国際大)はジャーク115キロのジュニア日本記録を樹立し、トータル200キロで3位に入った。同75キロ級の比嘉裕季乃(那覇高―平成国際大)はトータル164キロ(71キロ、93キロ)で2位だった。

◆大学で初戴冠/精神面の弱さ克服屋良

 元高校日本チャンピオンが大学入学後、初めて全国クラスの大会を制した。沖国大4年の屋良一郎(南部工出)は、スナッチ150キロ、ジャーク180キロのトータル330キロで自己記録を更新。「自己新での優勝。下半身強化が実った。練習通りの力を出せた」と、内容と結果を伴う二重の喜びに声も弾んだ。

 高校時代はインターハイや国体など全国大会を含め、出場する大会はほとんど優勝した。試技は高校記録更新など自身との戦いで、厳しい競り合いを経験せずに、大学に進学した。

 大学では、実力をつけてきた県外勢を前に頂点が遠のいた。表彰台に立つものの、勝負どころで差し上げられず、結果が残せない。「練習通りの力が出せない精神面の弱さが課題で、ずっと改善できなかった」

 この大会に備え、下半身をしっかり鍛え、足の使い方を体にたたき込んだ。あらためて基本に立ち返り、練習で何度も自己新を差し上げた。自信を持って臨んだ結果、スナッチの第1試技で自己記録に並ぶ140キロを余裕を持って成功。続く145キロ、150キロも全て差し上げた。勢いをそのままジャークでも自己記録にあと1キロと迫る180キロを成功させた。

 精神面の弱さを克服し、つかんだ頂点。5月下旬には全日本選手権が控える。主戦場の94キロで挑む予定で、「トータル340キロのユニバーシアード出場基準を突破し、国際舞台で戦いたい」。自信を取り戻した「王者」が言葉に力を込めた。

◆知念 記録に歓喜

 女子90キロ級のジャークでジュニア日本新記録の115キロを成功させた知念ひめの(平成国際大)は「試技が終わって気がついた。挙げられてうれしかった」と喜んだ。

 1階級上げ、初めて挑んだ90キロ級。両膝の痛みを抱えながらの出場でコンディションは良くなかった。ジャークの前に野澤雄一監督に「痛みを忘れて思いきりいけ」とアドバイスをもらった。いつもより軽く感じ、練習で何度か挙げている115キロに挑戦し、最終試技で成功させた。

 5月下旬の全日本選手権には主戦場の75キロ級で出場する。「昨年3位より、順位を上げ、75キロ級のジャークのジュニア日本新も狙いたい」と意気込んだ。