瑞泉学徒隊の声、伝えたい ドキュメンタリー、今秋完成へ


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撮影用のカメラと2006年に制作した「ずゐせんの足あと」を手にする石山秀樹さん=4月24日、琉球新報社

 那覇市で映像制作スタジオ「ロックヒルスタジオ」を運営する石山秀樹さん(64)が、沖縄戦に学徒隊として動員された県立首里高等女学校の生徒(瑞泉(ずいせん)学徒隊)の証言を記録するドキュメンタリーの制作を進めている。石山さんは「体験者たちの生の声を残したい。知名度の高いひめゆり学徒隊以外の学徒隊の実情について伝えたい」と話す。「ずいせん看護隊の足あと」と題したドキュメンタリーは秋までの完成を目指す。

 首里高等女学校の生徒たちは、米軍上陸直前の3月末、配属された病院壕で卒業式を持った。そのため、その後は引率教員が付かず、最前線の従軍看護隊として活動し、動員された61人のうち33人が命を落とした。石山さんは「軍から直接命令を受けていた。10代の少女には生活面、精神面で大変だっただろう」と話した。

 石山さんは2006年にも、瑞泉学徒隊のドキュメンタリーを制作した。当時、東京で働いていたため、毎月来県し、資料集めや撮影をしたという。「調べられる限りを尽くしたつもりだったが未熟だった。いつかしっかり作り直したいと思っていた」と話す。

 定年退職を機に沖縄に移住し、再び制作に向けて活動を始めた。これまでの調査で印象的だったのは、同窓生たちが戦前の学校生活を話す姿だという。「平和な時の学生生活を話す時、同窓生たちの目が輝いていた。戦争について話す時とは全く違った」。そのギャップを伝えることで、10代の少女たちが戦場に駆り出された悲劇を表現する。

 石山さんは「学徒隊が今後も忘れられることのないようにしたい。そのためにも、貴重な声を映像に残したい」と力を込めた。